この頃からNuttXの配布場所も、Source Forgeからhttp://www.nuttx.org/という独自ドメインに切り替わっている。この当時の特筆すべき話は、新アーキテクチャへの移植を無償で受けていたことだ(図5)。
あくまでオープンソースコミュニティーが入手可能なハードウェアに限っており、また無制限というわけではないが、この時期は対応ターゲットを増やすことに注力していた感がある。ちなみに少し後の2015年4月における対応ターゲットは、CPUコアでいえば以下のようなものがある。
具体的には72ほどの製品ファミリーが並んでいる。よくもまぁ8052とかAVR32とかまでサポートしたものだという感じではあるのだが。
さて、その後も開発はどんどん進み、NuttXのバージョンも上がっていくのだが、Nutt氏自身はNX Engineering, S.A.の経営からは手を引き(今はコスタリカ人の経営者が運営しているもよう)、非営利のコンサルタント的ポジションにいるらしい。またNuttXのサポートも、ハワイにあるNSC Dgという会社が引き継いだようで、実際にhttp://www.nx-engineering.comにアクセスするとNSC Dgに自動的に移動するようになっている。
これと前後して起きたのが、オープンソースソフトウェアプロジェクト支援団体のApacheソフトウェア財団によるインキュベーションである。NuttXのプロジェクトは2019年12月にインキュベーション状態となり、プロジェクトそのものも「Apache NuttX」となった(図6)。引き続きNutt氏もこのApache NuttXのPPMC(Podling Project Management Committee)兼コミッターとなっており、実際同氏の経歴も最新の職業は“Open Source Developer”になっている。このあたり、形は違えど「Amazon FreeRTOS」の原作者であるRichard Barry氏がAWSチームに移籍して引き続きFreeRTOSに携わっているのに近いものがある。
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