Bluetooth SIGが2025年までのBluetooth搭載機器の年間出荷台数予測をまとめた「Bluetooth市場動向2021」について解説。右肩上がりで成長を続けてきたBluetooth搭載機器の出荷台数が、2020年はコロナ禍の影響により2019年から横ばいの40億台にとどまった。しかし、2021年からは年率10%の成長を見込んでおり、2025年には64億台に達する見込みだ。
Bluetooth SIG(Special Interest Group)は2021年4月14日、オンラインで会見を開き、2025年までのBluetooth搭載機器の年間出荷台数予測をまとめた「Bluetooth市場動向2021」について解説した。これまで右肩上がりで成長を続けてきたBluetooth搭載機器だが、2020年はコロナ禍によりスマートフォンや自動車向けの需要が減少した影響で、2019年から横ばいの40億台にとどまった。しかし、2021年からは年率10%の成長を見込んでおり、2025年には64億台に達する見込みだ。
Bluetooth SIGは、Bluetoothの仕様策定や認証、普及を担う団体で、参加企業数は2020年末時点で3万6645社まで拡大している。地域別分布は、北米・南米が34%、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が29%、日本を含むアジア太平洋が36%とほぼ均等になっている。同団体でマーケットデベロップメント シニア・ディレクターを務めるチャック・セイビン(Chuck Sabin)氏は「コロナ禍でBluetooth SIGの活動にも制限が加わったが、リモートワークなどを活用して2020年の1年間で15の新たな仕様を採用することができた」と語る。
今回発表したBluetooth搭載機器の出荷台数予測は、2020年に発表した内容がそのまま1年スライドしたような内容になっており、2020年は2019年から横ばいの40億台となった。コロナ禍によりスマートフォンや自動車などの市場が減少したものの、コロナ禍をきっかけにヘルスケアへの活用で注目を集めたウェアラブル端末や、在宅時間が長くなったことによるスマートホーム関連の需要が拡大し、結果として横ばいになった。セイビン氏は「今後の出荷をけん引するのはスマートフォンやタブレット端末などのプラットフォーム機器ではなく、それらの周辺機器になる。2025年のBluetooth搭載機器の出荷台数は64億台を見込んでいるが、7割が周辺機器になると見込んでいる」と述べる。
周辺機器が伸びる傾向は、Bluetooth対応デバイスのバージョン別出荷台数からも見てとれる。もともとの規格であるClassicのみのシングルモードと、Classicと低消費電力向けの規格であるLE(Low Energy)の両方に対応するデュアルモードを合わせた出荷台数は2025年までほぼ横ばいだが、LEのみのシングルモードは成長を続ける。LEが、電池容量が少なく省電力であることが求められる周辺機器向けに開発されたことを考えれば当然の符合といえるだろう。
会見では、「オーディオストリーミング」「データ転送」「位置情報サービス」「デバイスネットワーク」という4つの注目ソリューションの市場動向について説明が行われた。
オーディオストリーミングは、ワイヤレスのヘッドセットやスピーカー、車載インフォテインメントなどが対象市場となっている。年間出荷台数としては、2020年の11億台から年平均8%で成長し、2025年には17億万台まで拡大する見通し。この市場をけん引する機器はヘッドフォンで、2021年の年間出荷台数13億台のうちヘッドフォン向けが6億3300万台を占めている。これらの他、2021年から2025年にかけてBluetoothイヤフォンが3.4倍、Bluetoothスピーカーが1.5倍に拡大する見込み。
イヤフォン市場の起爆剤となる規格「LE Audio」は2021年内に策定が完了する予定で、2021年末から2022年初にかけて最初の搭載機器が販売される見通し。「LE Audioは補聴器の標準規格にも採用される予定だ。2024年までに、Bluetoothを用いた補聴器は年間で9200万台以上が出荷されるだろう」(セイビン氏)。これらの他、音声をブロードキャストできるLE Audioのオーディオシェアリング機能が、空港や劇場、映画館などで難聴者向けのサービスとして展開される可能性があるという。
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