VIXELLは当面、医薬品の定温輸送用途での需要取り込みを狙う。ただ、医薬品を輸送する場合、保冷ボックス内の温度管理は厳格に行う必要がある。例えば、COVID-19のワクチンを、ディープフリーザーなどで超低温状態で保管する病院から接種会場まで輸送する場合、輸送中のボックス内温度は2〜8℃に保つ必要があり、温度逸脱がわずかでも生じると問題になる。こうした事態を防ぐためには、VIXELL内に置く保冷材を事前にしっかりと予冷(保冷材の凍結や温度調節)して、輸送過程の筐体内温度を一定に保つようにする必要がある。
こうした保冷材の予冷作業や、保冷ボックスの保管、空き箱の回収などをワンストップで行うのが、VIXELLのレンタルサービス「VIXELLフルフィルメントサービス」である。利用者がパナソニック アプライアンス社が開設したWebサイトからサービスを申し込むと、VIXELLの筐体や保管を請け負うスズケングループが指定医療機関へとVIXELLを配達する。利用者は、保冷材の管理ノウハウが無くとも、安心して定温輸送が行える。なお、スズケングループはワクチンなど医薬品の配達そのものは引き受けない。
既にCOVID-19のワクチン輸送に関連した問い合わせを受けている他、医薬品以外の業種からもいくつか相談が寄せられているという。サービス全体を通じて、今後5年間で約100億円規模に成長させる計画だ。
パナソニック アプライアンス社 事業開発センター システムデザイン部 主幹技師の小島真弥氏は「当社は冷蔵庫の第1号機を発売して以来、断熱性能を高めるためのさまざまな開発や取り組みを進めてきた。私が入社した当時の上司は『冷蔵庫用の断熱パネルの究極の形は、立方体形状の真空断熱パネルだ』と語っていた。その“夢”が製品になったのが今回発表したVIXELLである」と説明した。
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