インターネットイニシアティブ(IIJ)は、食品の衛生管理の手法であるHACCPに基づいて、冷凍冷蔵庫や倉庫の温度を自動で監視、管理できるIoTソリューション「IIJ LoRaWANソリューション for HACCP温度管理」を開発したと発表した。従来のLTEルーターを用いたソリューションと比べてコストが半額以下で済むという。
インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は2020年6月15日、オンラインで会見を開き、食品の衛生管理の手法であるHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point、ハサップ)に基づいて、冷凍冷蔵庫や倉庫の温度を自動で監視、管理できるIoT(モノのインターネット)ソリューション「IIJ LoRaWANソリューション for HACCP温度管理」を開発したと発表した。従来のLTEルーターを用いたソリューションと比べて、システムの導入や運用管理などを含めたコストが半額以下で済むという。国内の食品関連事業者向けに、同年7月15日から提供を開始する。販売目標は発売から3年間で10万台。
HACCPは、米国を中心に海外で導入が進んでいる食品の衛生管理手法だ。原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、微生物や異物混入など危害が起きやすい要因(ハザード)を分析した上で、特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する。日本国内では2018年6月に改正された食品衛生法に基づき、2020年6月に食品の製造から流通、販売に至るまで全ての事業者に対してHACCP対応を求める法令が制度化された。2021年6月から完全義務化となるため、HACCP対応ソリューションの需要は急速に高まっている。
今回開発したソリューションは、温度センサー、温度データをクラウドに送るLoRaWANゲートウェイ(無線基地局)、データを保存し可視化するクラウドサービスおよびアプリケーション、LoRaWANゲートウェイとクラウドをつなげる通信用SIMなど、温度管理に必要となる製品とサービス、サポートを含めて一括で提供する。IIJ IoTビジネス事業部 副事業部長の齋藤透氏は「当社はスマート農業分野向けで約3年かけてLoRaWANソリューションの技術開発を積み重ねてきた。今回発表するHACCP対応は、LoRaWANが最も得意とするユースケースと考えている」と語る。
特徴は大まかに分けて3つある。1つ目は、LoRaWANならではの「長距離通信」だ。LoRaWANゲートウェイは半径1〜2kmに設置されているセンサーとの通信が可能であり、1台で工場や大型店舗など広い敷地をカバーできる。2つ目は「低消費電力」で、リチウムイオン電池搭載の温度センサーを用いることにより、1日1回通信を行う設定であれば5年間稼働し続けるという。そして3つ目は、1台のLoRaWANゲートウェイで最大1000個のセンサーとの接続が可能とする「高収容能力」である。
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