次世代ゲーム機に求められる触覚フィードバック、「三原触」で自在にデザイン組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

村田製作所の子会社であるミライセンスは、ゲーム機やVR(仮想現実)/AR(拡張現実)デバイス向けコンテンツに求められる触力覚(ハプティクス)を直感的にデザインできるハプティクス生成ミドルウェア「PulsarSDK」を開発した。

» 2020年10月16日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 村田製作所の子会社であるミライセンスは2020年10月15日、東京都内で会見を開き、ゲーム機やVR(仮想現実)/AR(拡張現実)デバイス向けコンテンツに求められる触力覚(ハプティクス)を直感的にデザインできるハプティクス生成ミドルウェア「PulsarSDK」を開発したと発表した。現在、ゲームエンジン「Unreal Engine」と連携するバージョンの一部顧客向けβテストを開始しており、2021年3月の正式リリースを計画している。

ミライセンスの触力覚技術のデモンストレーション。指で持っているデバイスからの振動による皮膚刺激で触力覚を感じさせることができる。スプリングを引っ張る感覚、ダンパーを押し込む感覚、ゴムを引っ張ってちぎれる感覚などを再現している(クリックで再生)

 ミライセンスは、振動などの皮膚刺激によって生じる脳内錯覚から触覚や感触といった触力覚を感じさせる「3DHapticsテクノロジー」の産業分野での応用と普及を目指して2014年に設立されたベンチャー企業だ。2019年12月には、触力覚の基となるアクチュエータなどの振動デバイスを幅広く手掛ける村田製作所がミライセンスを買収。両社の知見とノウハウを組み合わせることで、3DHapticsテクノロジーの事業展開を加速する方針を示していた。

脳内錯覚で触力覚が得られる

 触力覚を生み出す技術は、ロボット型や超音波型、ボディースーツ型など幾つかあるが、「重い」「運用が不便」「コストが高い」などの課題があった。これらに対して3DHapticsテクノロジーは、神経科学に基づく脳内錯覚を応用しており、微小な振動による皮膚刺激で触力覚が得られるため、従来の課題を解決した触力覚デバイスの小型化、軽量化、低価格化を実現できることが特徴となっている。

触力覚技術の課題「3DHapticsテクノロジー」の特徴 ゲームやVR/ARコンテンツに求められる触力覚技術の課題(左)と「3DHapticsテクノロジー」の特徴(右)(クリックで拡大) 出典:ミライセンス

 また、方向感や引っ張る、押すなどと関わる「力覚感」、硬い、柔らかい、粘っこいなどと関わる「圧力感」、ざらざらやコトコトといった「表面材質感」という3つの感覚を組み合わせることで、ほぼ全ての触感、感触を表現できるという。「色表現の基本となるRGBの三原色にちなんで、これら3つの感覚を『三原触』と呼んでいる」(ミライセンス コファウンダー 取締役社長の香田夏雄氏)という。

「三原触」でほぼ全ての触感、感触を表現できる 「三原触」でほぼ全ての触感、感触を表現できる(クリックで拡大) 出典:ミライセンス

 ミライセンスは、3DHapticsテクノロジーの事業展開に向けて、アクチュエータなどの電子部品から制御用マイコンボードとファムーウェア、触力覚を生み出すソフトウェア開発キット(SDK)、触力覚の設計に用いるツールまで全ての開発ステージをサポートしてきた。これに対して、今回発表したPulsarSDKは従来のSDKとツールを組み合わせ、ゲーム機向けの触力覚の設計と実装を容易に行えるようしたソフトウェアソリューションとなる。

全ての開発ステージをサポート ミライセンスはハードウェアからSDK、ツールまで、触力覚の全ての開発ステージをサポートしてきた(クリックで拡大) 出典:ミライセンス
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