BIRD 社長兼CEOの北瀬氏は「株式会社、3社以上が参画するJV、設立維持の資本金が6億円以上など、世界でも類をみない共創型R&D事業だ」とBIRDの特異性を強調する。
事業内容は、DX(デジタルトランスフォーメーション)技術に関連する研究・開発、研究・開発受託、コンサルティング業務、投資となっているが、基礎研究と事業化(ローンチ)を除いた応用研究・開発を手掛けることになる。テーマ設定+チーム組成、コンサルティング、プロトタイプ開発、ローンチ準備までを一括して担う。カーブアウトを目指す1つのプロジェクト案件に対して、研究開発チームの人員規模は約10人を想定。そのメンバーとしては、NECの他、大林組など出資元となる事業会社からの参画を想定しており、アライアンスパートナーとなるPOLの理系人材データベースサービスの活用や、BIRDが自ら人材獲得することも検討している。
BIRDの当初の基盤技術として期待されているのが、NECが産業総合技術研究所や理化学研究所との共同研究で得た成果となる先進AI(人工知能)技術「Intelligent Simulation×Automation」だ。例えば、開発した新製品の効率的な生産ラインを設計する用途では「シミュレーション×機械学習AI」によって「圧倒的なスピードで課題を解決できる」(BIRD CDOの森永氏)という。また、ドローンの交通管制システムなどでは「シミュレーション×自律交渉AI」を活用できるとしている。
カーブアウト目標とする6件の内、2〜3件はNECの先進AI技術を用いることを想定している。残りの案件については他の技術の活用する見込みで、出資企業との共創も検討しているという。
従来にはない特異な形態のR&D事業会社となるBIRDだが、出資企業が多いことが足かせとなり、西原氏の言う“2つの解放”に至らない可能性もある。北瀬氏は「関わる人が多くなるほど事業開発が失敗することは経験上よく分かっている。BIRDでは、私と森永の2トップの下で研究開発者のケイパビリティ(組織的能力)を結集しつつ、スタートアップのようなスピード感を掛け合わせた事業運営を行っていくつもりだ」と述べている。
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