多くの人が抱えるこの問題も、シミュレーターを活用することで解決できる可能性があります。実際に品質確認の作業時間を大幅に短縮できたiRobotの事例を見てみましょう。
iRobotはロボット掃除機「ルンバ」に組み込む掃除アルゴリズムの品質確認試験の一部をシミュレーションでまかないました。ルンバのロボットアプリケーションは独自のアプリケーションフレームワークで実装されていますが、iRobotはGazeboシミュレーターと連携できるブリッジソフトを開発し、Gazebo内に展開される仮想ワールドの中で試験が実施できるようにしました。新しく実装したアルゴリズムが多様な室内環境でも正しく機能するかを評価するため、さまざまなバリエーションの仮想ワールドを用意し、そこで自動走行させることで品質確認試験を行うという仕組みを構築しました。シミュレーターを利用することで、物理的な設備を使用する手間を大幅に削減できたのです。
このシミュレーションを実施する上でiRobotはAWS RoboMakerのクラウドシミュレーターを利用しました。クラウド上でシミュレーションを行うことの利点の1つに、規模を拡大しての実行が容易であることが挙げられます。iRobotは複数のシミュレーションを並列して実行することで、全テストシナリオのシミュレーションが完了するまでにかかるトータルの時間を短縮化しました。これまで実際のロボットを使って3週間かかっていた品質評価が、AWS RoboMakerを活用し、クラウドで並列してテストシナリオを並列して実行することで、わずか1時間で終わるようになりました。
ちなみにAWS RoboMakerのクラウドシミュレーターは起動時にのみ利用料金がかかる仕組みで、実際の利用時間次第でコスト削減が図れるという点で経済的にも優秀です。自前で一から同じような仕組みを構築するよりも、低コスト、かつ、効率的に自動テストの環境を導入できます。
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