AIの組み込み開発に勝機、映像活用増加でFPGAの受託開発が拡大組み込み開発 インタビュー(1/2 ページ)

AI活用が広がる中、機器にAI機能を組み込む「組み込みAI」への関心が高まっている。その中で、従来のFPGA開発のノウハウなどを生かし、組み込みAI開発に勝機を見いだしているのが、OKIグループで組み込みソフトウェア開発を担うOKIアイディエスである。新たに代表取締役社長に就任した清水智氏に現状と今後の取り組みについて話を聞いた。

» 2020年06月17日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]
photo OKIアイディエスの外観(クリックで拡大)

 AI(人工知能)技術の活用が広がっている。AIは学習データから推論モデルを作り出し、その推論モデルを基に結果を出力するが、その推論モデルを機器に組み込み、最適な情報処理や判断を行う「組み込みAI」に注目が集まっている。ただ、機器にAIの推論モデルを組み込む場合、何らかの機能を果たす形に落とし込むためには、もともとの機器の機能を果たす組み込みソフトウェアと組み合わせる必要がある。

 こうした中で従来のFPGA開発のノウハウなどを生かし、組み込みAI開発に勝機を見いだしているのが、OKIグループで組み込みソフトウェア開発を担うOKIアイディエスである。新たに代表取締役社長に就任した清水智氏に現状と今後の取り組みについて話を聞いた。

総合的開発でハードウェアの持つ性能を最大限発揮

 群馬県高崎市に拠点を構えるOKIアイディエスは、OKIグループでEMS(電子機器受託生産サービス)を展開するEMS事業部に所属する企業の1つである。従業員数は81人(2020年4月1日時点)で、FPGA設計やDSP制御、通信制御、エレクトロニクス設計、組み込みソフト設計、機構設計などをコア技術として持つ。OKIグループのプリント機器や情報機器の設計開発や、通信機器や電装機器、医療機器、FA機器などの設計開発受託などを行っている。

photo OKIアイディエスのコア技術と事業ポートフォリオ(クリックで拡大)出典:OKIアイディエス

 OKIアイディエスが開発を受託している製品は、FA・計測領域では、デジタルマイクロスコープや基板外観検査装置、FAロボットなどがある。また、医療・介護領域では、医療用内視鏡や介護ロボット、歯科レントゲン装置などがあり、セキュリティ分野ではセキュリティカメラや見守りカメラなどがある。

photo OKIアイディエス 代表取締役社長の清水智氏

 これらの製品分野では、少量多品種の開発が多く、仕様も多様だ。そのため、設計開発段階でも市場投入のタイミングに近づけて開発リードタイムを短くすることが求められる。また、画像や映像の活用やさまざまな通信プロトコルなどとの連携が求められ、その中でより柔軟な使い方ができるFPGAの採用が拡大。従来のソフトウェア単体での委託から、ハードウェア関連開発との複合的な委託が増えてきているという。

 清水氏は「回路設計とFPGAの開発力が差別化のポイントだ。これらをコアとして持ちつつも筐体設計を含めて、総合的にハードウェアの能力を生かすことができるところがOKIアイディエスの特徴だ。特に最近はあらゆる領域で画像や映像の活用が広がっており、その処理や活用に向けた開発力が生きる」と強みについて語っている。

photo OKIアイディエスの開発している主な製品群(クリックで拡大)出典:OKIアイディエス
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