リスクマネジメントの対象とすべき危機的事象は、パンデミックや地震、水害だけではありません。雪害や風害といった水害以外の気象災害、火災を始めとする事故、サイバーアタック、紛争、テロなども対象になります。BCP(Business Continuity Plan)やBCM(Business Continuity Management)は、これらのさまざまな危機的事象の発生を想定したものである必要があります。
とはいえ、パンデミック、地震、水害といった危機的事象ごとにBCPを策定したり、BCMを構築したりするとなると、手間がかかるだけではなく、実運用にも適しません。種類が増えれば増えるほど、不測の事態に対して柔軟な対応を取ることが難しくなるからです。1968年に流行した香港風邪以来の本格的なパンデミックとなるCOVID-19、当初の想定を大きく上回る規模の津波を発生させた東日本大震災、近年毎年のように甚大な水害を引き起こしている集中豪雨など、想定外の危機的事象が多発していることを考えても、いたずらにツールを増やすのではなく、多様な事態に対応できる柔軟な仕組みを構築することが肝要です。
それぞれの危機的事象には、以下のような違いがあります。
これらを広く棚卸し、各条件に即した対応策を整備するとともに、組み合わせて実行できるようにします。そうすれば、仮に想定外の危機的事象が発生したとしても、柔軟かつ的確に対応できるはずです。
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