三菱重工グループのMHIETがPLMシステムを「Windchill」へ移行、グローバルで展開製造IT導入事例

PTCは、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)が技術系情報管理システム「MUSE」の構築において、PTCの製品ライフサイクル管理ソフトウェア「Windchill」を採用し、グローバルで運用を開始したことを発表した。

» 2019年04月16日 09時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 PTCは2019年4月15日、三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)が技術系情報管理システム「MUSE(Mitsubishi Unified System for Engineering)」の構築において、製品ライフサイクル管理ソフトウェア「Windchill」を採用し、グローバルで運用を開始したことを発表した。

 Windchillの採用により、「CATIA V5」「NX」「Creo」といったマルチCADデータの管理、EBOMと関連付けた変更管理および履歴管理を実現する。

契約終了に伴いPLMシステムを「Teamcenter」から「Windchill」へ

画像はイメージです 画像はイメージです(iStock.com/ismagilov)

 2016年、三菱重工業からエンジンおよびターボチャージャ事業を承継し、営業を開始した三菱重工エンジン&ターボチャージャは、これまでシーメンスPLMソフトウェアのPLMソリューション「Teamcenter」をプラットフォームとするPDMシステム「HOLET’S」を運用してきた。

 しかし、Teamcenterの契約終了に伴い、Windchillへの移行を決定。MUSE構築プロジェクトとして「1.別管理のEBOM/EO情報と、設計で正式化された3Dモデルやドキュメント情報を一元管理」「2.CADデータ管理システムのグローバル展開」「3.3Dデータの適正管理による非設計部署や海外拠点への共有」の3つを実現する、Windchillベースの新システムを立ち上げた。

 同時に、古くからダッソー・システムズのハイエンド3D CAD「CATIA」ユーザーであった三菱重工エンジン&ターボチャージャは、膨大なCATIA V5の3Dデータおよび2Dデータ資産を保有しており、全ての変更履歴を残した状態で、Windchillへ移行する必要があった。この大規模な移行作業を支援したのがPTCのフィールドサービス部門で、マルチCAD対応の「Windchill Bulk Migrater」を活用することで、短期間で確実なデータ移行を実現できたという。

 今回のWindchillをベースとする新システムへの移行について、三菱重工エンジン&ターボチャージャ 品質保証部 技術管理グループ グループ長の岩本義秀氏は次のようにコメントする。「Windchillの採用により、マルチCADデータや各技術情報をEBOMと関連付けて履歴管理することが可能となった。グローバルに一元管理された技術情報は、設計をはじめとする各部門での業務スピードと品質の向上、海外拠点を含めた各部門との連携に役立ち、顧客への提供価値を高めることにつながる」(岩本氏)。


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