工機ホールディングスは日本、ドイツ、中国、台湾、マレーシアといった国と地域に生産拠点を持つ。現在の生産比率は、日本7%、中国70%、欧州17%、その他アジアで6%となっている。生産地の中国シフトは2008年に発生したリーマンショックに起因する円高を乗り切る策だったとし、今後も最適地生産を進めていくとする。
今回、見学を行った工場は同社の「佐和製造センタ」に所属する佐和工場。1970年から操業した同工場は電動工具、空気工具、木工機械や食品機械などマルチボルトシリーズを含む高付加価値製品を生産する。2018年度の生産台数は4万6000台、製品数は532機種と多品種生産を行う工場だ。従業員数は370人、設備台数は1350台。一部工程では24時間稼働を行っている。
同工場は同社のマザー工場としての役割を担っており、新製品の早期立ち上げや量産品の生産性向上に貢献する治工具や設備の内製化も担当する。同工場では、コア部品を初工程から最終工程まで担当する「一貫生産ラインの構築」、小ロットと工具種別に応じて人とロボットが融合した「最適組み立て方式とラインへのロボット活用」、IoT(モノのインターネット)と5S(整理、整とん、清掃、清潔、しつけ)活動などの推進による「生産改革プロジェクトによるモノづくり力の強化」を重点テーマとして掲げている。
同工場の製品組み立ては小ロット生産が多く、ラインあたりの作業者数は4〜10人程度だ。一部の製品組み立てラインではIoTへの取り組みを始めており、ラインにセンサーを取り付け、データの蓄積、見える化、分析を実施。あるラインでは作業員2人分の省力化が実現できたと生産効率の改善があったとする。
また、品質保証では組み立てライン内に認定者が担当する全数検査工程を配置している他、ロットごとに品質保証部門による抜き取り検査が行われている。
多品種少量生産をより効率的に行うため、同工場では労働生産性向上活動や日常改善活動などの改善活動を重視している。同工場では随所に啓発ポスターやVMボードによる活動内容報告が掲示されていた。
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