セブン‐イレブン三田国際ビル20F店は開店当初、来店客に利用法を説明することも含めて1人のスタッフが常駐することを想定している。ただし、NECグループ社員向けの店舗であること、顔認証によって入店や購入時の本人認証を行っていること、セルフレジを用いて給与天引きで決済していることもあり、商品補充や機器メンテナンスなどの作業を除けば「基本的にはスタッフがいなくてもOKになり得る」(セブン‐イレブン・ジャパン 社長の古屋一樹氏)。
無人化が可能でありながら、同店が「省人型店舗」となっているのは、セブン‐イレブン・ジャパンが、多数のカメラやセンサーを用いて実現しているアマゾン(Amazon)の「amazon go」のような無人店舗を目指していないからだ。古屋氏は「現時点で無人店舗は全く考えていない。接客こそがコンビニの基本であり、これなくして意味はない。店舗スタッフがお客さまに喜んでもらえるように、商品の発注や陳列を行う作業に注力できるようにするための省人化が狙いだ」と強調する。
無人店舗は目指さないとするセブン‐イレブン・ジャパンだが、2009年から継続する「近くて便利」というコンセプトのもと、社会環境の変化に合わせて品ぞろえの幅を見直すなどさまざまな取り組みを進めてきた。また、「ひとと環境にやさしい店舗」を目指して、さまざまなタイプの店舗も展開している。
店舗展開における省力化でも、従来比10分の1になった「検品作業の省力化」、レジ業務を大幅に削減する「セミセルフレジの導入」、AIを活用した発注、店内正圧化の空調換気プランなどを実施している。「機械でできることは機械に任せるが、その中で従業員の役割は、お客さまとのコミュニケーションや接点となる一番近いところでの業務に注力することになる」(古屋氏)。
今回、セブン‐イレブン三田国際ビル20F店で省人化店舗の実証が行われる背景には、セブン‐イレブン・ジャパンの創業からシステム開発をNECが担当してきたことや、三田国際ビルのNECグループ社員の従業員満足度を高めるため、NECがセブン‐イレブン・ジャパンにマイクロマーケット向け店舗の出店を依頼していたことがある。
セブン‐イレブン・ジャパン自身も2014年12月、同社本社ビルの7階に、セブン‐イレブン三田国際ビル20F店よりも少し規模の大きいマイクロマーケット向け店舗となる「7&i本社ビル店」をオープンしている。1階にある「千代田二番町店」と両方を合算した売り上げ指数は、オープン前の千代田二番町店を100とすると、2017年度には162に増えている。古屋氏は「マイクロマーケット店舗の需要は10年前くらいからあり、出店依頼も多い。今回オープンする店舗の技術について、働く人、使う人の両方がストレスなく快適に利用できるかどうかを検証し、将来的に水平展開していきたい」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.