パナソニックは2018年11月20日、東京都内で会見を開き、荷物の配送状況をリアルタイムに一括管理し、誤配送を防ぐ「配送見える化ソリューション」の提供を開始すると発表した。
パナソニックは2018年11月20日、東京都内で会見を開き、荷物の配送状況をリアルタイムに一括管理し、誤配送を防ぐ「配送見える化ソリューション」の提供を開始すると発表した。同社の頑丈ハンドヘルド端末「TOUGHBOOK(タフブック)」と、2017年7月に完全子会社化したZETES(ゼテス)のクラウドサービスを組み合わせて、同年12月1日から販売する。
今回発表したソリューションは、複雑化する物流網の中で、荷物がどこにあるか、いつ届くのかをリアルタイムに管理できるようにするもの。物流網が複雑化している背景には、物流に対するニーズの多様化が進み、荷物の小口化や再配達、時間指定、配送頻度の増加などが求められているという要因がある。
メーカーは工場へ、卸売業者は店舗へ、小売業者は個人に荷物を送る。荷主であるメーカーや卸売業者、小売業者は、先述したニーズを満たすため複数の運送会社を使う傾向にある。そのため荷主は配送状況を把握しづらくなっている。一方、荷主から荷物を受け取り、運送会社に配送を委託する物流センター(3PL、3rd Party Logistics)や、3PLから配送を受託する運送会社ではIT活用が進んでおらず、紙の伝票の扱いや、荷物の積み込みミスなどが課題となっていた。
配送見える化ソリューションは、こうした課題に対応して、物流センターで荷物を持ち出した段階から、配送中、配送完了までをクラウド上で確認、管理できるようにする。バーコードリーダー搭載タイプのタフブックを使用し、ドライバーに配送スケジュールや配送の指示、持ち出す荷物のリストなどを伝える。荷物の積み下ろしはバーコードを読み取って行うため、エビデンスを残すことが可能だ。同ソリューションは動態管理も兼ねており、荷主はタフブックの位置情報から取得した配送状況をPCのブラウザ上で確認することができる。受け取り時のサインもタフブック上で行うことが可能だ。
これまで、運送業者向けに配送計画を策定するシステムや、その派生としての動態管理ソリューションは競合他社も提供している。パナソニックは、配送の進捗管理に重点を置いている点や、バーコード管理による誤配送の防止が差別化になると見込む。「どの荷物も早く届くことが望まれている以上、誤配送はゼロでなければならない。動態管理を既に導入していても紙の伝票を使っている運送業者は多いため、導入の余地はある」(パナソニックの担当者)。
パナソニックは、このソリューションを荷主となるメーカーや卸売業者、小売業者向けに提案する。運送業者よりも荷主となる企業からの引き合いが強く、荷主が導入した端末を運送業者で利用する形を想定している。システムの利用料金は、初期費用としてクラウドサーバのライセンスが90万円、月額でタフブック1台当たり7000円程度となる。
こうした配送状況を管理するシステムは、大手運送事業者が自社開発した場合、数千万〜数億円の費用が発生する場合がある。パナソニックはクラウドサービスとして提供することにより、短期間かつ低コストで、小規模で導入できるとしている。
パナソニックが製造、物流、流通などの現場業務の生産性向上と継続的な価値創出を目指して提案している「現場プロセスイノベーション」は、これまでハードウェアの売り上げが大半を占めていた。今後は、今回のようにサービスとハードウェアを組み合わせたソリューション提案に移行し、モノ売りにこだわらない事業展開を強化していく。
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