カシオが初代G-SHOCKのベゼルを光成形で、しかもリアルな素材を使って複製成形技術(1/2 ページ)

カシオ計算機(カシオ)は2018年10月31日、初代「G-SHOCK」機種の期間限定レストア(修復)サービスを開始すると発表した。対象機種は1983年に発売した「DW-5000C」と1987年に発売した「DW-5600C」で、対象部品はベゼル(時計の盤面周辺にあるカバー)とバンド、電池。

» 2018年10月31日 10時00分 公開
[小林由美MONOist]

 カシオ計算機(カシオ)は2018年10月31日、初代「G-SHOCK」機種の期間限定レストア(修復)サービスを開始すると発表した。対象機種は1983年に発売した「DW-5000C」と1987年に発売した「DW-5600C」で、対象部品はベゼル(時計の盤面周辺にあるカバー)とバンド、電池。2018年11月1日の午前9時から同社の専用Webサイトから受け付けを開始する。受け付けは2019年1月31日までとなる。

 「落としても故障しない」時計として開発された経緯もあり本体は非常に堅牢にできており、サポート期限が何年も過ぎた後も問題なく使用できる場合も多いものの、ベゼル部は樹脂製であるため加水分解などにより経年劣化してくる。また家族や友人からのプレゼントである場合もあり、思い入れが強い品を修復したいという要望もカシオに多く寄せられていた。

初代「G-SHOCK」のベゼル部

 DW-5000CおよびDW-5600Cはサポートを終了した機種であるため、金型も既にカシオで所有していない。レストアサービスで想定されるごく少ない製作数を考えれば、金型を再度製作すれば特に初期費用が高くついてしまう。そこで金型を作らずに部品生産する手段として後述する光成形による手法を考案。DW-5600Cのベゼル形状はD-5000Cと全く同じであるため、同じ型が利用可能だ(光成形での製作にはバンドおよび電池は含まれない)。

 ベゼルに関しては同社が独自開発した光成形の手法を用いて生産する。使用するのは国産メーカーであるディーメックのハロゲンランプ式光成形機「Amolsys H250」1台。

ディーメックのハロゲンランプ式光成形機「Amolsys H250」
光成形の工程(出典:カシオ計算機)

 時計の実機をマスターにしてシリコン型を製作し、光成形機で樹脂を成形する。シリコン型の製作には約10時間かかる。成形においては、製品で用いられている実際の素材を使用する。製品のベゼルに使用しているのはウレタンの一種である。また光成形でウレタンを用いるのは「業界初」(同社)であるという。成形精度も製品同等であるとのことだ。

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