流体解析製品ではまず、液滴分裂の詳細ハイブリッドモデルに対応した。このモデルは、自動車のガソリンエンジン、ガスタービンなど原動機などの燃料噴霧・燃焼の解析で利用できる。大きい液滴に適した気液界面追跡モデル(VOF)と、小液滴を扱えるラグランジュモデル(DTM)を組み合わせることで、メッシュ数を必要最低限に抑えながら、細かく分裂した液滴のモデルまで解析可能にした。
「自動車は電化し機構も電機系にシフトしている。しかし、その動力源となる電気を作り出すためには何らかの燃焼を利用していることから、トータルで見た環境性に配慮しなければならず、燃焼効率を高めることが重要になる」(アンシス・ジャパン アプリケーションエンジニアリング シニアマネージャー 坪井一正氏)
さらにエロ―ジョン損傷モデルを追加した。配管内を通過する流体に混在する微小な異物などにより壁にできる微細な損傷などが起因する、減肉現象が解析できる。柔軟な移動変形メッシュで再現可能だ。
また「Overset Mesh」機能を拡充し、併用できる機能を増やし、適用可能なアプリケーションを拡大したという。
「ANSYS CFX」のターボ機械設計向け機能としては、「Harmoc Analysis」が翼振動による問題の予測に対応し、ターボ機械翼設計ツールも追加した。翼振動の解析は非定常になり計算時間がかかるが、このツールにより計算時間を抑えられるとしている。
「CFD Enterprise」「CFD Premium」「CFD PrepPos」には、高機能ポストプロセッサの「EnSight」を加えた。流体解析製品に標準で搭載される。よりフォトリアルなポストデータが作成でき、会議、マーケティング、カタログの素材などで活用できる。EnSightはANSYSが2016年に買収したCEIが開発したソフトウェア。
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