富士フイルムが開発したのが「ビッグデータ・IoT時代を支える総ユーザーコストに優れた大容量データテープ」である。製品・技術開発部門で内閣総理大臣賞を受賞した。
IoTやビッグデータの進展により、バックアップ用のデータテープへの期待も高まっているが、その大容量化へのニーズに応えた技術である。「超微粒子バリウムフェライト磁性体の粒子形成技術」「1次粒子化するナノ分散技術」「超薄層磁性層を形成する精密塗布技術」という3つの技術開発により、世界最大記録容量を持つデータテープの開発に成功した
ニッコー、産業技術総合研究所、函館地域産業振興財団で開発したのが「漁獲物を獲れたての鮮度で保持するための船舶搭載型シャーベット状海水氷製造機の開発」である。製品・技術開発部門で内閣総理大臣賞を受賞した。
鮮度保持に優れたシャーベット状海水氷(シルクアイス)を、船上で海水から製造する製氷機を開発。魚体を傷つけずに均一に冷却することで、海外輸送後も生食が可能な鮮度を実現した。農産品の鮮度保持や、レストラン、研究室などでも活用されており、既に国内外で40台以上を販売しているという。最適な温度帯での連続製氷を可能としたところが特徴だとしている。
小松技術士事務所と豊栄工業が開発したのが「植物由来生分解樹脂の世界的普及の端緒となる日本発の射出成形技術群の開発と応用製品」だ。製品・技術開発部門で内閣総理大臣賞を受賞した。
射出成形が困難で量産化が果たせなかった、生分解性樹脂・ポリ乳酸の量産加工技術を開発。金型内の温度をセンサーで計測し、結晶化と同時に製品を離型させる技術、超臨界状態で溶解した窒素や二酸化炭素による微細気泡形成や流動性改善技術など、ポリ乳酸製品を耐熱化、断熱性・軽量化、薄肉化する多様な射出成形技術群を開発した。
ポリ乳酸を原料とした耐熱性幼児食器及び薄肉成形カップの量産化を実現し、国内外に販路を拡大している。
伝統技術の応用部門で内閣総理大臣賞を受賞したのが、大塚オーミ陶業による「伝統技術をベースとした立体的製陶技術による文化財の複製」である。
陶板レリーフの制作において、重ね焼きしても割れることなく、かつ、寸法精度が良く、ゆがみが生じない高精度な形成技術と、釉薬による焼成時の表面のガラス化を制御、質感豊かに色彩を再現する技術を開発。「重ね焼きは不可能」という伝統的な焼き物の固定概念を打破した。キトラ古墳など文化財の複製に応用するなどの実績があるという。
経済産業大臣賞については次ページで列記する。
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