政府が主催する「ものづくり日本大賞」が発表され、内閣総理大臣賞24件、経済産業大臣賞18件などを含む、58件が受賞した。
経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省などが主催する第7回「ものづくり日本大賞」の受賞者が2018年1月15日に発表された。最高賞となる内閣総理大臣賞には24件71人が選ばれた。また、経済産業大臣賞に18件86人・2団体、特別賞に15件74人・1団体、優秀賞に18件84人が選ばれた。
「ものづくり日本大賞」は、製造現場の中核を担っている中堅人材や伝統的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など「モノづくり」に携わっている人材のうち、特に優秀と認められる人材を表彰するものである。経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携して実施しており、2005年から隔年で開催している。表彰対象としては「製造・生産プロセス部門」「製品・技術開発部門」「伝統技術の応用部門」「ものづくり+(プラス)企業部門」「人材育成支援部門」の5つが用意されている。
内閣総理大臣賞24件の内、主に製造業を対象とした経済産業省領域の7件を抜粋して紹介する。
製造・生産プロセス部門で内閣総理大臣賞を受賞したのが、JFEスチールの「CO2排出量削減に適した製鉄原料製造プロセスの開発」である。
製鉄業のCO2排出量は製造業や建設業の全排出量の52%を占めるとされる。さらに、その中でも約70%を排出しているの製銑プロセスである。ここに着目し、焼結鉱の焼結強度と還元性を向上。製造プロセスを冶金学的に分析し、焼結鉱製造プロセスにおいて大幅なCO2削減を実現する技術の工業化に成功した。
JFEスチールが所有する全焼結機に既に導入したとし、大幅なCO2削減と数百億円規模のコスト削減を達成したという。
製品・技術開発部門で内閣総理大臣賞を受賞した1つが日立製作所、日立オートモーティブシステムズ、日立金属などが参加した「産業革新をけん引する、世界最高性能のIoTセンサー開発」である。
メカトロニクス技術と半導体技術を融合し、センサー素子と制御回路が2.5mm角の1チップ上に集積された、世界初の半導体ひずみセンサーを開発。さまざまな構造物や機器類の変形を、1μストレインレベル(1kmのものが1mm伸び縮みする現象を計測)で高感度計測(従来製品との比較で感度2万5000倍)が可能。過酷な環境下でも長期間安定した計測が行える。機械、医療、建築など多くの産業分野でIoTを加速するとしている。
ジャパン マリンユナイテッド、JFEスチール、IHIが参加して開発したのが「構造アレストで実現した安全・環境性能に優れるメガコンテナ船」である。製品・技術開発部門で内閣総理大臣賞を受賞した。
造船所と製鉄所の高度なコラボレーションにより、コンテナ船製造に関して「船体の大規模な破壊を防止する世界初の『構造アレスト』技術」「圧廷条件の最適化、独自の厚板冷却技術による超極厚・超高張力鋼鈑の開発」「時間的、費用的にコスト削減を可能とした超高効率溶接技術」の3つの新しい技術を開発。
これにより、安全性能が高く、環境性能の優れた大型コンテナ船を実現。造船業としては異例の大量受注などにもつながったとしている。
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