ソリッドワークス・ジャパンは2017年11月10日、都内で「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2017」を開催。同イベントの基調講演で、SOLIDWORKSブランドのCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏が、たった20人のスタッフで超音速旅客機を開発するベンチャー企業、Boom Technologyを紹介した。他、ユニークで先進的な製品開発をする2社も紹介。「SOLIDWORKS 2018」に関する追加情報も明かした。
ソリッドワークス・ジャパンは2017年11月10日、都内で「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2017」(以下、SWWJ2017)を開催した。SOLIDWORKSブランドのCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏が基調講演で登壇し、当日には記者発表会も開催した。
「大量生産やグローバル化という製造業におけるコンセプトが疑われる昨今において、多くの人々がカスタム化された製品を求め、パーソナル加工に関心を寄せている。アジアやアフリカの新興国において、資源の乏しい中においても、科学技術立国への成長を果たそうという動きが見られる。世界のFablabへの導入数も増加している」とバッシ氏は同社ユーザーの動向について説明した。
同氏は、製造業における大きなトレンド変化として、ユーザー3社による事例を紹介した。まずBlokableは、「Bloks」と呼ぶさまざまな機能を備えたユニットを選んで組み上げる、モジュラー・ビルディングシステムだ。家屋が効率よく素早く建築可能であり、かつ室温や照明などを集中コントロール可能なスマートハウスが実現できる。ソリッドワークス本社が同社のビジネス立ち上げから支援したという。
Freight Farmsは輸送用コンテナを再利用する農場システム「Leafy Green Machine」を提供する。コンテナを設置して水耕栽培が行えるシステムで、スマートフォンのアプリ「Farmhand」を使って遠隔から管理できる。この製品はそこに水と電気さえあれば設置でき、本来農業に適さない地域においても農場が実現できるため、地産地消を促すビジョンもあるということだ。
たった20人のスタッフで超音速旅客機を開発するBoom Technologyも紹介した。コンコルドと比較して75%の燃費効率改善を果たし、かつマッハ2.2での飛行を可能とした。さらにビジネスクラスの運賃で利用可能な超音速旅客機実現を目指す。3分の1にスケールダウンした試作機「XB-1」は2016年11月に公開し、2018年以降の初飛行を予定しているという。フルスケール版は2020年初頭の初飛行を予定している。こちらは完全にSOLIDWORKSのみで設計から解析まで行っている。
航空機設計といえば、同社親会社、ダッソー・システムズのハイエンド設計システム「CATIA」を用いて大企業が携わることであったところ、ミッドレンジ設計システムのSOLIDWORKSを用いて小規模なベンチャーが設計するようになったという一例だ
世界のファブラボに500カ所、インキュベータに110カ所、SOLIDWORKSが導入されていることを受け、「最近はFablabやインキュベータが重要」だとバッシ氏は説明する。「直接、経済の一部になろうと、企業を立ち上げたり、自分自身でモノづくりをしたりする人たちが増えた。そこには将来の大企業もあるだろう」。また「十分なリソースや時間が確保できないベンチャー企業こそ、ツールの自動化が必要だと考えている」と同氏は言う。
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