ダッソーは、2017年の事業方針説明会を開催。インダストリー4.0などの流れに乗って拡大してきた製造系の強化を継続するとともに、シミュレーションへの取り組みを強化する方針を明らかにした。
フランスDassault Systemesの日本法人ダッソー・システムズ(以下、ダッソー)は2017年3月22日、2017年の事業方針を発表。同社が注力する「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム(3D Experience Platform)」を核とし、差別化の源泉としてここ数年M&Aを通じて拡張してきたシミュレーション分野を強化していく方針を示した。
ダッソーでは、ここ数年、新たなビジネス基盤として「3Dエクスぺリエンス・プラットフォーム」を推進。3Dエクスぺリエンス・プラットフォームは、CADなどで作成される3Dデータを基軸に、製品開発や生産、販売、マーケティングなど、製造業の一連のビジネスを支えるプラットフォームである。ダッソーはこの基盤を軸に、消費者のニーズが、製品1つ1つの機能や性能から、得られる体験へと移行してくる中で、新たなデジタルモノづくりの提案を進めている※)。
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ダッソー 代表取締役社長の鍛治屋清二氏は「当初は理解されなかった3Dエクスぺリエンス・プラットフォームだが、最近は本格的に導入が活発化してきた。多くの製造業でモノづくりにおけるサイロ化に悩んでおり、自社の開発システムを根幹から変革したいというニーズが生まれている。多くの組織で求められていた大部屋活動をバーチャルに実現しようとするする動きが進みつつある」とプラットフォーム提案への手応えについて語る。採用先については、主要顧客である自動車産業の他、船舶やハイテク企業、医療機器、建設系、エネルギー関連企業などがあるという。
一方で2016年に取り組みを強化してきた、製造系のシステムの受注も好調を続けている。「Apriso(現 DELMIA Apriso)やQuintiq(現 DELMIA Quintiq)など、M&Aによる製造系のポートフォリオ拡充を進めてきた中で、インダストリー4.0など製造のデジタル化の動きが一気に加速し、製造系の受注を大きく伸ばすことができている。特にAprisoについては、現状では納入が追い付かないほどの注文が入っている」(鍛治屋氏)。さらに、2016年6月に買収した生産スケジューラー「Ortems」も、今後国内でも提供していく方針だ。
さらに、業界内で高シェアを維持する3D CADのSOLIDWORKSも、順調に拡大しており「サードパーティーによる周辺ソフトの拡充なども進んでいる」と鍛治屋氏は手応えについて述べている。
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