GEヘルスケア・ジャパンは、東京都内で会見を開き、2016年の事業戦略を説明した。「“2025年モデル”の実現に向けて逆算すると、2016年は具体的に動くべきスタートの1年」(GEヘルスケア・ジャパン 社長の川上潤氏)と位置付け、医療機器メーカーから脱却した「ソリューションカンパニー」(同氏)を目指す。
GEヘルスケア・ジャパンは2016年4月12日、東京都内で会見を開き、2016年の事業戦略を説明した。「“2025年モデル”の実現に向けて逆算すると、2016年は具体的に動くべきスタートの1年」(GEヘルスケア・ジャパン 社長の川上潤氏)と位置付け、医療機器メーカーから脱却した「ソリューションカンパニー」(同氏)を目指す。
川上氏は「今後数年は今までと異なる成長を作っていかなければならない」と説明する。政府が推進する2025年モデルや、医療費の増加など環境変化が影響するという。
2025年は、約800万人の団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が75歳以上になり、医療や介護の需要が拡大していく見通しだ。これに向け、政府や都道府県は、機能ごとに大きな偏りのある病床や施設、サービスのバランスを再配置し、患者自身が住む地域で包括的に支援やサービスを提供できる体制づくりを進めていく。2025年に向けて「2017〜2018年には詳細が決まっていく。今までの医療のやり方では通用しない疾病構造、人口構造になっていく」(同氏)と見込んでいる。
また、年間の国民医療費が40兆円を超えるなど「病気が治ればいくらコストをかけていいという時代ではなくなった。医療にも効率性が求められつつある」と川上氏は説明する。
こうした環境変化を受け、同社は「顧客アウトカム(=結果)の向上」を2016年の成長戦略に掲げる。「resultはシンプルな因果関係の下での“結果”だが、outcomeは複雑な要因が絡み合う中でさまざまなインプットの末に出てくる“結果”だ。お客さまのアウトカムを向上するには、高スペックな医療機器だけでは足りない。お客さまの声を聞きながら複雑な因果関係を読み解きながらソリューションで応えていきたい」(同氏)とする。
具体的にはデジタル活用と、疾患別アプローチによる臨床アウトカム改善に取り組む。
デジタル活用はGE全体で取り組んでいるテーマでもある。GE製品の生産性や開発効率の向上、ソフトウェアビジネスやアプリケーションビジネスの強化、インダストリアルインターネット/IoTのプラットフォーム構築によって、2020年までに150億米ドル規模のソフトウェア事業を構築する計画だ。
GEヘルスケア・ジャパンとしては、同社の日野工場の生産性や品質の向上から、納入後の医療機器の点検時のダウンタイム削減、病院の稼働改善、病院の全てのデータをクラウドに集めて実現する診断支援まで幅広く“デジタル・インダストリアル”を推し進める。
臨床アウトカムの改善では、これまで展開してきた人に優しい医療機器や在宅医療ソリューションに加えて、疾患別アプローチの提案を強化する。特に認知症の診断力向上に力を入れる。「われわれは、医療機器を提供するだけだった。疾患に対して検査、解析、診断まで一気通貫でサポートするソリューションを提供し、診断のアウトカムを向上していく」(同氏)。
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