1000fpsの撮影が可能な高速CMOSセンサーを用いた画像処理技術の普及と用途拡大を目指す組織「WINDSネットワーク」の創設記念総会で、日産自動車 モビリティ・サービス研究所 所長の三田村健氏が特別講演に登壇。「自動運転には人間の眼を超えて認知するための画像認識技術も必要だ」(同氏)とし日産自動車の研究事例を紹介した。
秒間1000フレーム(1000fps)の撮影が可能な高速CMOSセンサーを用いた画像処理技術の普及と用途拡大を目指す組織「WINDS(Network for World Initiative of Novel Devices and Systems)ネットワーク」が、2016年2月24日に発足した。同日に創設記念総会が開催され、日産自動車 総合研究所 モビリティ・サービス研究所 所長の三田村健氏が特別講演を行った。
三田村氏は「交通事故の原因の9割がドライバーのミスにあることから、死亡事故の減少に向けて自動車を知能化してドライバーの運転を代替していく必要がある。知能化は、判断のための人工知能だけでなく、人間の眼を超えて認知するための画像認識技術も必要だ」と語り、日産自動車の研究事例を紹介した。
日産自動車が画像認識技術を量産モデルに採用し始めたのは2001年からだ。2001年に「シーマ」に「レーンキープサポートシステム」を搭載した。高速道路の直線部分に限られるが、道路の傾きや横風などに影響されずにステアリング操作を支援するもので、日産自動車として初めての運転支援システムの製品化となった。「カメラによる車線検知と車線に追従する制御、ドライバーに機能の作動を知らせるHMI(ヒューマンマシンインタフェース)がブレイクスルーだった」(同氏)。
2007年には世界初の周辺監視システムとして「アラウンドビューモニター」をミニバン「エルグランド」で採用した。駐車時の視界を補助することで、大きなミニバンでも切り返しやすくする。リアルタイムの画像処理や、上からクルマを見た視点での表示が製品化のカギとなった。
さらに2014年は、エルグランドや「エクストレイル」向けに「スマート・ルームミラー」を実用化。車両後方のカメラの映像をルームミラー型のディスプレイに表示する製品で、車両サイズが大きく後方が見にくい車両の視野を確保する。
こうした運転支援システムをはじめとするさまざまな技術の搭載によって、2015年に日産車が関与した交通事故の死傷者数は、1995年と比べて61%減となった。「しかし、残り4割の重大な事故が起きていることも事実だ」(同氏)。知能化によってさらに安全性を向上していくため、ブレイクスルーにつながる技術として高速CMOSセンサーに着目して研究を進めている。
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