幾何公差って測定はどうなるの?寸法を実感する! 測定講座(1)(2/3 ページ)

» 2016年02月29日 10時00分 公開

本連載のトライアルワーク

 第1回の今回は、私どもが設計した、図2のトライアルワーク(教材)の紹介をします。

図2:トライアルワーク

 今後、この図を用いてアルミの切削で製作したワークと私どもで所有している3Dプリンタで製作した樹脂ワークを、さまざまな測定機を用いて、ここに指示した各種幾何公差を測定して行きます。

 今回は、記載された幾何公差の概要を説明します。次回以降は、各幾何公差の特徴、目的、測定方法などを説明していき、実際に測定したデータの事例も提示します。

 まずは、ざっと図面を眺めていただいた第一印象はどうですか?

 何となくすっきりとした図面になっていませんか。今までの図面で見慣れた±とかの公差指示があまり見当たらないと思います。そうなのです、幾何公差では従来の寸法公差図面と異なり、形体(図形の要素、面、線、円、軸、点)などの大きさや位置を示す数字を□で囲んで「理論的に正確な寸法」として、そこに指示する公差は、別に公差指示枠というもので示します。ですから、個別の寸法には公差値が書き込まれていないので、すっきりしています。図面中□でかこまれた数値を見つけたら、どこかに幾何公差指示がされていると考えて探してください。

 次に、「▲」で示した記号に目がいきませんか?

 これは、「データム」といって、幾何公差の生命線ともいうべき記号です。これは、姿勢公差、位置公差、振れ公差の基準となる形体を指示するもので、従来も平行度や直角度(垂直度という人も多いですが、今後は直角度と呼んであげてください)、同軸度などの基準として、注記で指示されていたと思います。

 なお、基準となるデータムには「基準としての精度」を求めることが理想的で、ここの例では、データムAには平面度、データムBには真直度、データムCには直角度といった公差の指示をしています(図3)。それぞれの公差については、次回以降に説明します。

図3:A〜Bのデータム図示

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