富士経済は、インダストリー4.0やインダストリアルインターネットなど「ICTを活用した次世代型製造現場」に必要となるFA機器やシステムの市場調査を行い、展望をまとめた。
富士経済はインダストリー4.0やインダストリアルインターネットなど「ICTを活用した次世代型製造現場」に必要となるFA機器やシステムの市場調査を行い、2015年3月17日にその概要を発表した。
同調査では、PCベースコントローラーや双腕ロボットなどの次世代型FA機器、製造現場の情報化に不可欠なM2M/IoT技術、ICT化により必須となるセキュリティシステム、労働者とロボットの協業で必要となるセーフティシステムなど30品目の市場を分析し、展望や課題を明らかにしている。調査機関は2014年9〜12月で、専門調査員による参入企業や関連企業、団体などへのヒアリングなどによって実施した。
調査対象 | |
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インテリジェント生産システム | MES、PDM/PLM、機械系CAD、ラインシミュレーター、ERP |
インテリジェントコントローラー | PCベースPLC、PCベースNC、PCベースMC、モバイルワイヤレス対応HMI |
インテリジェント製造装置・センサー | 双腕ロボット、安全対策ロボット、3Dプリンタ、ロボットビジョン、触覚センサー、力覚センサー |
ネットワーク | FAオープンネットワーク、FA用無線LANシステム、産業用スイッチングハブ |
M2M/IoT | M2Mクラウド(FA分野)、産業用RFID、圧力センサー、超音波センサー |
FAセキュリティシステム | FA UTM(Unified Threat Management)、不正機器監視&強制排除システム |
FAセーフティシステム | セーフティPLC、安全スイッチ、ライトカーテン |
省エネルギー(国内市場) | FEMS、トップランナーモータ、トップランナー変圧器 |
グローバル化や製品ニーズの多様化などで製造現場はもう一段高い自動化が求められるようになってきている。その中でドイツのインダストリー4.0(Industrie 4.0)、米国のインダストリアルインターネット(Industrial Internet)、日本の次世代型スマート工場など、国や企業が組織的にこれらのモノづくりの変化を推進しようという動きが加速している(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。これらの取り組みは対象範囲などが微妙に異なるものの、ICTを活用した次世代型製造現場の構築という点では共通している。
ICTを活用した次世代型製造現場の構築は以前から訴えられてきたが、ICT(サイバー領域)の進化により、生産設備(フィジカル領域)に融合することが可能になりつつある。例えば、設備にセンサーを取り付け、生産情報をシームレス化させることで、製造現場から離れた経営部門でもリアルタイムに状況が把握できるようになるなどの効果が期待されている。さらに、最適な時期に必要な量の製品を生産することが可能となり、在庫の削減、生産拠点の調整による最適なバリューチェーンの構築、生産計画の見込み違いによる損失の減少などが実現可能だ。
スマート工場に不可欠なFA機器・システム市場の合計は、2014年で2兆5494億円となった。世界的にICTを活用した製造現場の生産性向上の動きが進むことで、2020年には2014年比193.9%の4兆9433億円市場となることが予測されている。
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