コミュニティーづくりから実戦の場へ――世田谷ものづくり学校が描く新ビジョンモノづくり×ベンチャー インタビュー(2)(2/4 ページ)

» 2014年10月21日 10時00分 公開
[陰山遼将,MONOist]

IIDの機能を連動させてモノづくりを

MONOist IIDのNew Seasonの具体的な内容について教えてください。

木下氏 何かを大きく変えるというより、これまでの活動で蓄積された経験や、学校という空間、設備などの全てを有機的につないでいこうという、コンセプトです。「ネットワーク」、「アクティビティ」、「スクール」、「ラボ」という4つの大きなテーマが連動していくイメージです。


IID 世田谷ものづくり学校の、2014年秋からの運営コンセプト(クリックで拡大)出典:IID 世田谷ものづくり学校

 まずネットワークから説明すると、IIDに集まる“クリエイター”というのは、製品そのものをデザインするだけでなく、企画や売り方もデザインしているような方も含まれています。この10年間でそういった方々が自然に集まるようなコミュニティーと、行政機関や実際に製造を行う企業の方などとの連携が整ってきました。この機能をさらに生かして、目的に応じたパートナーを探せる体制にしていくというのが、ネットワークです。

「ネットワーク」の概要(クリックで拡大)出典:IID 世田谷ものづくり学校

 その一例となったのが、以前に三菱製紙さんからいただいた、電力量変圧器の絶縁材である「積層プレスボード」を製造する際に発生する廃材をどうにか活用する方法はないかという相談への対応です。IIDの展示スペースにその廃材を展示してもらったんですが、全く別のイベントで訪れていた職人の方や企業がその廃材に興味を持ってくれて、実際に活用する方法が見つかりました。

 IIDが地域に根ざした活動を行うことで、展示スペースとして利用したい方だったり、学校という施設を利用したいイベント制作会社や広告業界の方だったり、さまざまな業種の方が訪れます。

校内に入るとすぐにミーティングや展示を行えるスペースが(クリックで入る)

 最近、クリエイターや企業をマッチングをするサービスがよく登場していますよね。IIDでは、業種や肩書を問わず、その場で出会った方と実際に顔を合わせながらディスカッションできるという点が強みです。三菱製紙さんの例を見ても、やっぱり何かモノを作るというときに、顔を合わせて「こういう活用はできないか」「こういうデザインにするのはどうか」といったことを直接話すというのはとても大事だなと思います。製品ではなく、素材や技術をここに展示するだけでいろいろな化学反応が起こるんです。

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