パーソナルロボット「Pepper」の開発者向けイベント「Pepper Tech Festival 2014」が開催され、SDK提供を含む技術情報や料金プランが公開された。開発拠点もオープンし、Pepperは第一歩を踏み出そうとしている。
ソフトバンクモバイルは2014年9月20日、都内で感情認識パーソナルロボット「Pepper」に関する開発者向けイベント「Pepper Tech Festival 2014」を開催、Pepperに関する技術情報や料金プランなどを明らかにした。会場ではPepperのSDKが配布され、アプリケーションの作成方法なども紹介された。
Pepperは、身長121cm、体重28kgのヒューマノイドロボットである。オムニホイールを使った移動機構を備えており、全方向に自由に移動することが可能だ。マイク、カメラ、3Dセンサー、タッチセンサー、ジャイロセンサー、ソナーセンサー、レーザーセンサー、バンパーセンサーなど、多数のセンサーを内蔵しており、自律的に動くことができる。また、さまざまなアプリケーションを搭載することが可能で、アプリによって接客や教育、アミューズメントなど、さまざまな用途の利用が期待される。
イベントのキーノートに登壇したのは、ソフトバンクロボティクス代表取締役社長の冨澤文秀氏。同社は、ソフトバンクモバイルのロボット事業を譲り受ける形で、2014年7月に設立された新会社である。今後、Pepperの事業に関しては、同社が担当して推進していくことになる。
冨澤社長はまず、なぜソフトバンクがロボット事業に取り組むのかを語った。1980年代にPC、1990年代にインターネット、2000年代にブロードバンド、2010年代にスマートフォンが普及し、同社にはそれに貢献してきたという自負がある。そして「次は何か?」と考えた時、全社員から募集した意見の中で、最も多かったのがロボットだったという。
100年後の世界を想像した時、おそらく多くの人が、どこかにロボットを考えるだろう。それはつまり、「ロボットは約束された未来を持っているということ」だと冨澤社長は述べる。しかし「その未来は急には来ない。いつも強い信念や夢を持った人が無理をして実現し、その信念や夢を共有する仲間がいて初めて成長する。ロボット産業のスタートをみなさんと一緒に切りたい」とし、来場者に開発への参加を呼びかけた。
この日、初めて公開されたのは、開発者向けのPepperとなる「デベロッパー先行モデル」と、月額サービスの「デベロッパー特別パック」である。これについては、ソフトバンクロボティクス事業推進本部長の吉田健一氏より説明があった。
デベロッパー先行モデルは2015年2月に販売を開始する一般向けPepperとは一部仕様が異なるとのことだが、価格は同じ213840円(税込)だ。ロボット本体の他、SDK「Choregraphe」や、クラウドでロボットのアプリケーションを配信・管理できる「クラウドロボットマネジメント」などが付属。限定200台の販売となり、申し込み多数のときは抽選で当選者を決定する。
Pepperを利用するには、これに加え、3年契約の「デベロッパー特別パック」に加入する必要がある。このパックに含まれるのは、クラウドを活用した音声認識エンジンの利用料金や、ロボットの修理サービスなど。ロボットは可動部が多いため、どうしても故障を避けられないが、何度でも無償で修理してもらえる。月額料金は9800円(税込)なので、支払総額を計算すると56万6640円(同)となる。
イベント開催日(2014年9月20日)にWebでの予約受付が開始された。通常、契約・納品は同年11月以降となるが、主催者からのサプライズとして、会場にて予約した人の中から抽選で1名に、当日のお持ち帰りができるPepperが用意された。都内在住の男性が当選したが、「妻になんと説明したら良いか……」と、さすがに多少困惑気味だった。
Pepperには、開発したロボットアプリを公開するためのアプリストアが用意される。誰でもアプリを公開して、課金機能で利益を得ることが可能だが、品質を保証するために、開発ガイドラインを準備して、アプリの審査も行う計画だ。ただ、自由なアプリ開発を促進するため、審査は最低限のチェックにとどめるという方針が示された。2015年2月には、アプリや動画を対象としたコンテストも実施するという。
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