国内回帰はあるのか!? 製造業の国内設備投資、業績回復しているのに1.7%減モノづくり最前線レポート(2/3 ページ)

» 2014年08月07日 14時30分 公開
[三島一孝,MONOist]

海外への設備投資増加は一服感

 一方で海外への投資状況はどうだろうか。製造業の2013年度海外投資の実績は前年度比13.7%増となった。減少したのは「非鉄金属分野」(0.3%減)だけで「化学分野」「電気機械分野」「自動車分野」それぞれが投資を伸ばしている。

 しかし一方で2014年度の計画を見ると、海外への投資は各産業で減少傾向だ。製造業の2014年度の海外投資計画では、前年度比1.6%減となる見込みを示す。業績回復が遅れていた「電気機械分野」が23.1%増の投資を計画している以外は、各分野が海外への投資を低減する計画としている。新興国の成長などグローバル対応を積極的に進めるため、海外投資を伸ばしていた段階は一段落しつつあるといえるだろう。

photo 海外における設備投資動向(クリックで拡大)

 設備投資の海外/国内比率(連結)の推移を見た場合、製造業では63.1%となり、2010年以降増え続けていた海外偏重の投資は一服したと読み取れる。

photo 設備投資の海外国内比率の推移(クリックで拡大)

中期では一部で国内生産を再評価する動きも

 中期的(3年程度)な供給能力への投資計画で見てみると、従来のように爆発的に伸びるということはないが、海外向けが継続して増える傾向は変わらない。「海外への投資を増やす」という回答は継続的に70%を超えている。しかし一方で「国内への投資を増やす」とした回答は2012年度、2013年度の回答が20%前後だったのに対し、2014年度は28.8%に増加しており、一部に国内生産を再評価する動きも出始めている。

photo 中期的な国内・海外の供給能力(クリックで拡大)

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