モノフェスで見た、面白アイデアの事業化事例サムライたちの集い「第3回 サムライモノフェスティバル」(3)(1/3 ページ)

2月15日開催の第3回 サムライモノフェスティバル」では、「誰でもブランドを立ち上げられるサービス」「ボタンを押すと拍手するおもちゃ」「匂いが出るガジェット」など、面白アイデアを実際に事業化した事例が多数展示されていた。

» 2014年03月28日 11時00分 公開
[高須正和/ウルトラテクノロジスト集団 チームラボ,MONOist]

 2014年2月15日、モノづくりとITを中心としたスタートアップの祭典「第3回 サムライモノフェスティバル」が、東京都江東区のテレコムセンターで開催された。第1回は、大企業の取り組みと、中小企業(町工場)の取り組みを取り上げた2セッション、前回は「アイデアを、いかにして人を引き付ける製品に変えるか」という観点で2セッションを紹介した。今回は、サムライモノフェスティバル(モノフェス)の展示ブースをメインに紹介する。

 モノフェス会場は、自分たちのアイデアを大量生産・商品化までつなげた人たちの出展が多く見られた。量産化直前の自作ハードウェアも目立った。個人が作ったものが中心に集まるイベントであるMaker Faireやデザイン・フェスタとも、CEATEC JAPANのような産業見本市とも違う、独特の雰囲気があった。

誰でも自分のファッションブランドを立ち上げられるサービス

 新サービスを立ち上げようとする企業で、特に目を引かれたのがバンダースナッチだ。彼らが出展していた「STARted」は、利用者が絵で服を描くだけで実際に服が作れて、STARtedのECサイトで実際に販売することも可能だというサービスだ。「Tシャツにプリント」などといった形でなく、「完成品の服」を作ってくれる。誰でも自分のファッションブランドが立ち上げられるというわけだ。

 このサービスは、“服飾のメイカーズ”がどんどん登場するきっかけになるかもしれない。

このような絵が……

このように実際に服になる!

 絵を基に、STERtedに所属する本職のパタンナーが服の型紙を起こし、同社と提携している縫製工場が服に仕上げる。絵を基にして服にするため、パタンナーに大きな負担が掛かるように思える。ただ、実際のファッションデザイナーとのやりとりであっても同様な絵から始まるので、大きな問題はないそうだ。生地はいくつかの素材から指定し、「ゆったりめ」といったサイズなどの情報は別途やりとりするという。

 バンダースナッチの藤井裕二氏は、過去、自分自身でいくつかファッションブランドを立ち上げたことがあり、いろいろな人からブランド立ち上げの相談を受けたことから、自社のノウハウを生かした形のサービスを模索し始めたという。価格についてはまだ検討していて「10万円ほどで数着の服ができる」サービスを目指しているそうだ。

 普段よく見るのは、「データをアップするとコンピュータが自動処理する」サービスだ。このように裏側に人がいて、ある程度融通を利かせてくれるようなサービスの存在は、それだけで新鮮に思えた。また受託開発に近く、手間が掛かりそうなやりとりを、Webサービスで誰でも申し込めるようにしたのも興味深い。

STARtedを立ち上げ中のバンダースナッチの藤井裕二氏

 将来的にはパタンナーのクラウドソーシングなども考えているということだ。

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