テクノロジーを自由な発想で楽しむメイカーズの祭典が、日本科学未来館で開かれた。チームラボの高須氏が、会場で気になった展示を紹介!
2013年11月3〜4日、東京お台場の日本科学未来館とタイム24ビルでDIYの展示会「Maker Faire Tokyo 2013」(主催はオライリー・ジャパン)が開催された。2008年に日本で初開催してから、今回で9回目のイベントになる(関連記事:「メイカーズが集合! 3Dプリンタから超小型コンピュータまで」。
「メイカーズムーブメント」という言葉もすっかり定着した今回は、1万人を超える来場者、300組を超える出展者を集め、大盛況のイベントとなった。企業出展も増え、「作ったものを商品化する」という出展者も目新しくなくなった。今回は、会場を回っていて僕が気になった展示物をいくつか紹介する。
毎回Maker Faireへの企業出展は増えてきている。当初は電子パーツの販売など、電子工作に既に取り組んでいる人向けの出展が多かったが、ここ数回は「Makerを増やすこと」を視野に入れた企業出展や、大手企業内でMaker的な製品開発をしてきた出展が目立つ。
その中で、特に多くの人たちの注目を集めていたのが、電子楽器メーカーのコルグ(KORG)が展示していた「littleBits」だ。ブロックを組み合わせるだけで、はんだ付けしなくても電子工作が楽しめる。電源やライト、ファン、スイッチ、ブザー、ボリューム、スライダーなど、40種類ものさまざまなモジュールを組み合わせることが可能だ。
モジュール同士の連結は磁石を使っており、間違ったつなげ方をしようとすると、磁石が反発してつながらないようになっている。なので、電子回路の知識がなくても、直感的に電子回路が組める。
今回のMaker Faireで、コルグからlittleBitsと組み合わせて使用する「littleBits Synth Kit」が発表された。シンセサイザーで音を作るためのオシレータやフィルターといったモジュールがブロックになり、アナログシンセサイザーが組み立てられるキットだ。
2008年に開催された「Make Tokyo Meeting 05」で、アナログシンセサイザーの「monotron」を中心に出展したことで、コルグとMakeとのかかわりが始まり、今回の共同開発につながった。「シンセサイザーをいじって音を作っていく気持ちと、電子工作的にDIYして音を作っていく仕組みには親和性があるのではないか」とコルグの坂巻匡彦さんは語る。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクのコスプレをした「かづひ」さんが出展していた「GlueMotor」は、iOSまたはAndroid端末のイヤフォンジャックに挿すだけで、2個のサーボモーターを制御し、ロボットアームなどが簡単に作れるケーブルだ。基板はなく、ケーブルだけでサーボをコントロール可能だ。App storeで公開されているアプリを使えば、2軸のサーボを制御し、ロボットアームが作れる。
米国サンフランシスコのMaker Faireで「Editor's Choice」を受賞したとのこと。500円程度の材料費で製作でき、作り方も公開されている。製品化も決まっており、2014年の初頭までに製品として販売する予定ということだ。
ロボティクスベンチャーのユカイ工学が開発したスマートホンに連動するマイコン、「konashi」を使った出展物も多く展示されていた。今回のMaker Faireでは、メイカソン(Make-a-son:2日間かけてアイデア出しから実装までを行うイベント)で生まれたkonashiの応用作品が出展されていた。
その中でも人気だったのが、ガジェット系メディアの「Engadget」が主催したメイカソンから生まれた「シャカシャカブラシ」だ。
ブラシの持ち手に加速度センサーと、konashiが内蔵されていて、歯を磨くごとにスマートホンやタブレットの中でカウントがアップされる。ゲーム的に楽しむことで、歯磨きが苦手な子どもも、楽しんで歯磨きができるというわけだ。
1日かけてアイデアを出し、その1週間後に開発日を設ける形で、実質2日間で完成できたとのことだが、短時間で作ったとは思えないほどのクオリティだ。クラウドファンディングを通じた商品化も計画中とのこと。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.