JFEスチールは、新たに高炭素熱延鋼板「スーパーホット-G」を開発した。従来品の「スーパーホット-F」を上回る加工性を実現しながらも、高炭素熱延鋼板の特徴である焼き入れ硬さを維持した。自動車の構造部品の軽量化が可能になるという。
JFEスチールは2013年12月10日、新たに高炭素熱延鋼板「スーパーホット-G」を開発したと発表した。2009年2月に発表した加工性の高い高炭素熱延鋼板「スーパーホット-F」を上回る加工性を実現しながらも、高炭素熱延鋼板の特徴である焼き入れ硬さを維持した。自動車の構造部品のさらなる軽量化が可能になるとして販売拡大したい考え。
鉄鋼製品の中でも炭素を多く含む高炭素熱延鋼板は、焼き入れ後の硬さを高められる一方で、プレス成形時の加工性が良好でないという課題がある。スーパーホット-Gは、合金元素量の最適化と、熱間圧延工程における組織制御と鉄炭化物を安定な球状の状態に変化させる球状化焼きなましの組み合わせによって加工性を高めたことを最大の特徴としている。
スーパーホット-Gは、一般的な高炭素熱延鋼板である、炭素含有量0.35%のJIS機械構造用炭素鋼(S35C)と比べて、加工性を示す破断伸び率は10%以上高い。その一方で、水焼き入れ後の硬さは、S35Cや従来品のスーパーホット-Fと同等である。
これらの性能向上により、従来は薄板によるプレス成形が難しかった部品を製造できるようになるので、自動車部品の軽量化が容易になる。また、複数の部品の一体化や、これまで加工できなかった複雑な形状の部品の製造も可能になるという。さらに、原材料そのものの引っ張り強度が小さくなって軟質化しているので、プレス成形時の荷重も低減できる。このため、S35Cを用いる場合よりも金型に掛かる負荷の軽減や寿命の延長なども期待できるとしている。
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