　2013年11月18日、「Embedded Technology 2013／組込み総合技術展（ET2013）」（会期：2013年11月20～22日）に出展、展示される製品や技術、ソリューションの中から国内産業活性化への貢献などが見込める優れたものを表彰する「ETアワード」の受賞社が決定した。

　表彰式は、ET2013の会期2日目となる11月21日の16時30分より行われる（場所は、メインステージ）。

　出展社の公募制となって3回目となる今回のETアワード。ET2013のターゲットテーマである応用6部門「スマートエネルギー」「オートモーティブ／交通システム」「モバイル／クラウド」「ロボティクス」「スマートヘルスケア」「スマートアグリ」に対し、43件の応募があったという。審査方法は、8人の審査委員による一次審査、9人の最終審査委員による最終審査の2段階制で行われた。なお、各段階の審査委員は重なりはあるものの、半数以上が入れ替わっているとのことだ。

　厳正なる審査の結果、今回のETアワードは、「オートモティブ／交通システム部門」で2つを選定。その一方で、「ロボティクス部門」では“該当なし”とし、5部門6社が受賞した。また、今回、各部門には当てはまらないが優秀な製品・技術を対象とした「先端テクノロジー賞」を設定。これに2社が選定された。

　以下、今回のETアワードで優秀賞および先端テクノロジー賞に選定された製品・技術を示す（表1）。


部門	受賞社	製品・技術名	寸評
スマートエネルギー部門　優秀賞	Spansion Inc.＆九州工業大学	mrubyで切り開くエナジーハーベスティング・ソリューション	太陽エネルギーを使用することで、半永久的に電池交換を不要としたエナジーハーベスティングシステムを実現するとともに、産学が連携し業界で初めてワンチップマイコンに日本生まれのmrubyを搭載した先進的なスマートエネルギーソリューションは今後に期待できる
オートモティブ／交通システム部門　優秀賞	名古屋大学大学院情報科学研究科附属組込みシステム研究センター	TOPPERS/ATK2（Automotive Kernel Version2シリーズ）	欧州車載システムの標準規格であるAUTOSARを日本に導入するためには、仕様の曖昧（あいまい）さを解決する必要があり、複数の企業とコンソーシアム型研究組織でOS部分：「TOPPERS／ATK2」を共同開発し、オープンソースとして公開している
オートモティブ／交通システム部門　優秀賞	ルネサスエレクトロニクス	車載情報端末向けSoC「R-Car」シリーズによる統合コクピット向けソリューション	車載情報機器は情報と安全が融合し、複雑な機能統合システムへ進化する中で、OS／ミドルウェアメーカー、システムインテグレーターなどをパートナーとする、「R-Car」コンソーシアムを組織化し、高付加価値なエコシステムの実現が期待できる
モバイル／クラウド部門　優秀賞	村田製作所	どこでも買物メモシステム	日常の生活課題を、ワイヤレス、クラウドといった最新のIT技術を応用して解決するとともに、老若男女誰もが使いやすいインタフェースで実現することで、まさに未来の「スマートなシステム」を予感させる
スマートヘルスケア部門　優秀賞	ラピスセミコンダクタ	Bluetooth Low Energy LSI（ML7105-00X）＆モジュール（MK71050-02）	市販のコイン電池の使用で、24時間駆動しても2年間使用できる低消費電力ソリューションは、今後市場が拡大するスマートヘルスケア、ウェアラブル機器への幅広い応用が期待できるプラットフォームである
スマートアグリ部門　優秀賞	データテクノロジー	遠隔監視制御システム「みまわり伝書鳩」＆センサーユニット：SenSu（センス）シリーズ	農業分野へセンサー技術を応用した最新のITシステムを実現するプラットフォームであるとともに、非常に低価格なシステムとして提供している。今後の新しい農業の発展が期待できるソリューションである
先端テクノロジー賞	アーム	ARM big. LITTLE	単一マイコンでは困難であった、高パフォーマンスと高電力効率の両方の課題を解決するマルチコアシステムを提案している。電池寿命を伸ばすマルチコアプラットフォームとして、モバイル機器をはじめとする幅広い分野への搭載が期待できる
先端テクノロジー賞	NEC	低負荷・高圧縮　画像コーデック「StarPixel」	医療、軍事、FAなどの分野では、従来の情報機器よりも高いセキュリティを要求されるケースがあり、「StarPixel」は独自の規格でありながら非常に高性能な画像圧縮技術を提供している。標準化、オープンソース化が進む情報家電分野と異なり、独自規格が高い競争力を有する事例として応用分野の拡大が期待できる
表1　ETアワード「優秀賞」および「先端テクノロジー賞」