日本電産は、ホンダの子会社で車載システムサプライヤであるホンダエレシスを買収する。この買収によって日本電産は、“世界トップのグローバルメガサプライヤ”への第一歩を踏み出す。
日本電産は2013年10月30日、ホンダの子会社で車載システムサプライヤであるホンダエレシスを買収すると発表した。2014年3月末をめどに買収を完了する予定。買収額は非公表である。
ホンダエレシスは、NECの自動車電子制御ユニット事業と、ショーワ、日信工業、ホンダ、ケーヒンが出資するネステックが統合し、2002年10月に設立された。出資比率はホンダが60.8%、NECが33.4%、ショーワと日信工業がそれぞれ2.9%で、ホンダの子会社ではあるものの、NECの関連会社でもあった。今回、日本電産は、ホンダをはじめホンダエレシスに出資する4社から、全ての株式を譲り受ける契約を結んだ。
ホンダエレシスの主力製品は、アンチロックブレーキシステム(ABS)や電動パワーステアリング(EPS)、横滑り防止装置(ESC)、ミリ波レーダーや車載カメラを用いた運転支援システムといったシャシー系の車載システムである。これらの制御を行うECU(電子制御ユニット)についても高い技術力を有している。2012年度(2013年3月期)の売上高は332億円で、従業員数は742人。
日本電産は2006年12月にValeoのモーター&アクチュエータ事業を買収して以降、車載モーター事業の強化に努めている。2010年10月にEmerson Electricのモーターおよびアプライアンス制御事業、2012年12月に中国の江蘇凱宇汽車電器を買収。2013年9月には、子会社の日本電産サンキョーが、車載ステッピングモーターを手掛ける三菱マテリアルシーエムアイの買収で基本合意したばかりだ。
ただしこれらの車載モーターは、自動車メーカーに車載システムを納入するティア1サプライヤ(1次サプライヤ)が直接の納入先となる単品部品である。つまり、日本電産の車載事業の自動車生産サプライチェーンにおける位置付けは、ティア1サプライヤの下のティア2サプライヤだった。
今回のホンダエレシスの買収によって日本電産は、ティア2サプライヤからティア1サプライヤに転身することになる。将来的には、年間売上高が数兆円規模のデンソーやRobert Boschのような「“世界トップのグローバルメガサプライヤ”に大きく一歩を踏み出すことが可能になる」(同社)というわけだ。
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