頭の中のアイデアを「Arduino(アルドゥイーノ)」で実現!! 筆者と一緒にモノづくりの喜びや難しさを体験・体感してみよう。第3回のテーマは“厳しい残暑を健康的に乗り切ろう”だ。温度センサーと複数のLEDを組み合わせて、「熱中症対策センサー」を作るぞ!
今年(2013年)の夏は6年ぶりに気温40℃を超える地域もあり、ホントに暑い夏でした。9月に入ってからも暑い日が続いています。もしかすると日本は四季を失って、このまま常夏の国になってしまうのかもしれません(なんて考えてしまうくらい、とにかく暑い!)。
皆さんもよくご存じの通り、この夏は熱中症の被害や注意を促すニュースが連日のように流れていました。今でこそ、暑さのピークは過ぎましたが、まだまだ残暑も厳しく油断は禁物です。運動中・運動後はもちろんのこと、屋内でも水分補給が欠かせません。
――ただ、その理屈は分かっていても、黙々とPCに向かって仕事をしていると、水分補給のことなどすっかり忘れてしまいます。「あと少しやったら」「ここまで何とか仕上げたい」など仕事に熱中しているとなおさらです。何とかできないものでしょうか……。
そこで今回は、温度センサーとLEDを活用した「熱中症対策センサー」を紹介します。じゃじゃーん!(画像1)
5つのLEDは、26℃から2℃きざみで5段階、最高34℃までを表します。それぞれのLEDにつないでいる抵抗の値を変えることで、LEDの明るさを変化させています。また、タイマー関数を使って1時間ごとに全てのLEDを点滅させて、ユーザーに給水を促します。ユーザーは水分補給をしたら、「Arduino」のリセットボタンを押して、タイマーをリセットします。
それでは、今回使用する部品を示します(画像2、表1)。
なお、低電圧温度センサー「TMP36」には極性があります。平らで刻印のある方を表として、左側のリードから1:電源(+Vs)、2:出力(Vout)、3:GNDとなります(画像3)。
今回の回路では、5つのLEDに「330Ω」「470Ω」「1.0kΩ」「1.5kΩ」「2.2kΩ」の値の異なる抵抗をつなげます。こうすることで、LEDが点灯した際の明るさに変化を持たせられ、高温になるほど明るく光らせるという“夏のギラギラ感”を演出できます。
ちなみに、LEDと抵抗値の関係は、電子回路を組むときの基本中の基本。中学の理科の授業で習って以来、実生活で役立てたことのない、あの「オームの法則」を活用するチャンスの到来です!
データシートによるとLEDの定格電流(If)が20mAで、電圧(VF)が1.8V。そして、Arduinoから供給される電源は5Vだから、抵抗で3.2Vを消費しなくてはなりません。これをオームの法則「抵抗=電圧÷電流」に当てはめると、3.2(V)÷0.02(A)=160(Ω)となります。しかし、書籍で紹介されている回路を参考にしてみると、使用している抵抗の値は160Ωよりも大きく、220Ω〜1kΩと幅があるのです……。Why?
「な、なんで計算通りの抵抗値を使わないの?」という筆者の疑問に、友人はこう教えてくれました。
「定格っていうのは、流していい最大電流値のことなんだ。20mA以上の電流が流れたら、LEDが壊れちゃうよ。定格ギリギリで使ったら、基板にも負荷が掛かるしね。単にLEDを光らせるだけなら、まぁ1〜2mAもあれば十分だよ」(友人)。
そして、その友人から「LEDにいろいろな抵抗をつないでみると、明るさが変わって、抵抗の働きを目でみて確認できるからやってごらん」とアドバイスをもらったのです。実際に、こうして抵抗値を変えてLEDを点灯させると、抵抗の値が大きいほどLEDの明かりが暗くなることが分かります。抵抗って、本当に電気の流れをジャマしているんですね。330Ωの抵抗も2.2kΩの抵抗も、カラーコード以外は見た目が同じなのに……。
つまり、回路設計する際には、LEDをどういう用途で使うのかも考えた上で、抵抗値を決める必要があるわけです。LEDを懐中電灯などの照明に使いたいときは抵抗値を小さくして明るく光らせますが、それ以外のときは状況に応じた明るさで点灯させることになり、使用する抵抗の値も違ってくるのです。そのためにも、抵抗値によってLEDの明るさがどのように変わるのか、具体的に体験しておくことは意味があります。
それでは、抵抗の値に気を付けながら、ブレッドボード上で回路を作成してみましょう。回路図と部品配置図を以下に示します(画像4、画像5、画像6)。
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