Intelの車載情報機器に対する深いこだわりから生まれた「Tizen IVI」Tizen IVI基礎解説(前編)(2/3 ページ)

» 2013年07月26日 11時30分 公開
[高橋成人(ターボシステムズ),MONOist]

LiMo Foundationとの統合で誕生したTizen

 MeeGoプロジェクトが消滅したその頃、LiMo Foundationも頭を抱えていた。

 LiMo Foundationは、携帯端末向けのLinuxディストリビューションを開発していた団体である。こちらは、NTTドコモやパナソニック、NECといった日本企業が深く関わっており、実際にパナソニックとNECは、日本市場向けにLinuxを搭載したフィーチャーフォンを発売するに至っている。

 しかしながら、LiMo Foundationも、NokiaがMeeGoプロジェクトから撤退したのと同じ理由で窮地に立たされていた。開発中のプラットフォームでは、iOSやAndroidに太刀打ちできないと判断したLiMo Foundationはいったん解散し、以降の方針を参加企業であるSamsung Electronics(以下、Samsung)とIntelに委譲したのである。

 2011年9月、SamsungとIntelは新たに「Tizenプロジェクト」を発表。Tizenプロジェクトも、MeeGoと同じくThe Linux Foundationより協業プロジェクトとしてホスティングされている。このこともあって、TizenはMeeGoの後継プロジェクトに位置付けられているようだ。

 その後LiMo Foundationは、Tizen Associationに名称を変更して復活を遂げた。Tizen Associationは、LiMo Foundationにおける反省を生かし、プラットフォームの開発はThe Linux Foundationに委譲して、マーケティングとマネタイズに注力することとした。

 Tizenのベースコードは、LiMo Foundationのプラットフォームの次世代仕様「LiMo4」の策定に向けてSamsungがリファレンス実装していた「Samsung Linux Platform(SLP)」がベースとなっている。Tizenは、MeeGoの後継プロジェクトではあるが、プロジェクト管理の側面から見て後継となっているだけで、実際にはMeeGoのアーキテクチャやソースコードはほとんど利用されていない。

 とにかく、携帯電話機や車載情報機器向けのオープンソースLinuxディストリビューションの成り立ちには紆余(うよ)曲折が多く存在し、残念なことに搭載デバイスもほとんどリリースされていない。辛うじて携帯電話機では、MeeGoベースのNokia N9がリリースされたが、車載情報機器については搭載品が市場投入されていない。現在も、市場投入に向けた挑戦が続いている状態だ。

オープンソースLinuxディストリビューションを用いた車載情報機器向けプラットフォーム開発の歴史 オープンソースLinuxディストリビューションを用いた車載情報機器向けプラットフォーム開発の歴史(クリックで拡大)

 携帯電話機や車載情報機器向けのオープンソースLinuxディストリビューションに関するより詳細な歴史は、「tizen-history」(注:PDFファイル)という形で図解にまとめられている。興味のある方は一度ご覧になっていただきたい。

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