太陽光発電システム(太陽電池)はもはや身近な「商品」となった。家電量販店での取り扱い開始や、テレビCMでの宣伝など、品物について見聞きする機会も増えている。しかし、太陽電池を屋根に載せている住宅はまだあまり多くないようだ。実際にはどの程度、導入に勢いがあるのだろうか。複数の調査結果から実態を探った。
大規模な太陽光発電所(メガソーラー)が国内各地に続々と立ち上がっている。しかし、太陽電池の用途は、まだまだ家庭の屋根置きが中心だ。電力の地産地消を考えると、家庭への太陽電池の一層の普及が望ましい。
住宅が並ぶ風景を眺めると、太陽電池を載せた屋根はまだまだ少ない。家庭向け太陽電池普及の勢いはどうなっているのだろうか。
太陽光発電協会(JPEA)が2011年11月に発表した「平成23年度第2四半期太陽電池セル・モジュール出荷統計」*1)によれば、2011年7〜9月における太陽電池の国内出荷量は前年同期比で128.7%の34万7707kWとなった(図1)。うち、国内出荷量の9割以上を占めるのが、住宅用(31万8955kW)だ。
住宅用は前年同期比の149.0%に達している。つまり前年の約1.5倍に成長したことになる。総量としては順調な伸びである。
*1) 調査対象は30社。JPEAのWebサイトから発表資料(PDF)をダウンロードできる。
それではどのような住宅が太陽光発電を先導しているのだろうか。
住宅金融支援機構*2)が2012年1月12日に発表した「住宅取得に係る消費実態調査(平成23年度)」が参考になる。この調査は、住宅取得時の消費支出を調査、分析したものだ。調査によれば、新築一戸建てに限れば、「6世帯に1世帯以上」が太陽光発電を導入している。
*2) 旧「住宅金融公庫」。実態調査の資料をWebページで公開している。調査対象は2010年11月から、2011年4月までに住宅を取得した世帯1575件である。内訳は一戸建て新築が560件、建売住宅が305件、新築分譲マンションが253件、中古住宅が457件。地域分布は関東地方が648件、近畿地方が322件、中部地方が238件、残りの367件はその他の地域だ。
太陽光発電システムの新規購入世帯比率を住宅の種類ごとに比べると、全世帯では8.5%(12世帯に1世帯)であり、一戸建て(新築)が突出していることが分かる(図2)。なお、新築分譲マンションで購入比率が2.0%に達しているのは、太陽光発電システムを売り物にしたマンションが登場し始めていることを意味する。
新築の戸建てで6世帯に1世帯が購入する要因は何だろうか。次に太陽光発電システムの価格情報について調査結果を見てみよう。
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