太陽光発電システムの普及を加速するには、初期導入コストを低くすればよい。住宅オーナーが太陽光発電の売電で導入コストを支払うモデルが良いとGoogleは主張する。同社はまず7500万米ドルを投資し、将来は1万戸以上を対象にする見込みだ。
米Googleは2011年9月27日、一般住宅向けの太陽光発電システムを推進するため、7500万米ドルを投資すると発表した。3000戸の住宅に屋根置き型太陽光発電システムを導入できるという(図1)。
Google VenturesでDirector of Green Business Operationsを務めるリック・ニーダム(Rick Needham)氏が、サンフランシスコで開催された再生可能エネルギー金融フォーラム(REFF-West)で明らかにした。なお、Googleの再生可能エネルギーへの総投資額は、今回の決定により、8億5000万米ドルに達した。
材料コストの低減により、長期的にみると配電系統から電力を購入するよりも屋根置き型システムの方がエネルギーコストが安価になり得るものの、太陽光発電システムを普及させるには工夫が必要だ。資金の問題が立ちふさがっているからだ。
屋根置き型システムを導入するには、太陽電池を購入しなければならず、住宅の改修も必要だ。システム初期導入コストが障壁となって、普及が進みにくくなっているとGoogleは主張する。もう1つの課題は銀行や投資家が個別の住宅オーナーのニーズにうまく応えられていないということだという。
Googleの狙いは、資金の流れを円滑化することで、住宅向けの太陽光発電システム普及を促すことだ。同社はClean Power Financeを通じて投資を実行する。
Clean Power Financeは太陽光発電システムの設置業者をGoogleのような投資家と結び付けるシステムを開発済みだという。設置業者は、Clean Power Financeを通じて、Googleのような投資家から融資を受けた住宅オーナーと契約を結ぶことができる。
太陽光発電システムの管理とメンテナンスはClean Power Financeと、同社が契約した設置業者が請け負う。
住宅オーナーの屋根に取り付けられた太陽光発電システムの所有権はGoogleのような投資家に残る。系統への売電収入の一部を毎月受け取ることで、投資家は投資を回収できる。
企業が複写機をリース契約で導入する場合と比較すると、このビジネスモデルの優位性が分かる。住宅オーナーはリース同様、太陽電池を購入する必要がない。リースと異なるのは「リース料金」を太陽電池が支払ってくれるところだ。太陽光発電システムの普及を妨げる初期導入コストの問題は発生しない。
Googleは、2007年に本社(Googleplex)に1.6MWの屋根置き型システムを導入済みだ。今回の取り組みは太陽光発電システム導入を促す、より強力な取り組みになるだろうという。今後は投資の規模を拡大し、1万戸以上の住宅への設置に強力したいという。
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