PCの設定を変えるだけで35万kWもの節電が可能だ。ディスプレイの輝度を40%に設定し、日本マイクロソフトが公開するプログラムをインストールするだけで実現できる。
PCの消費電力は20W〜100Wであり、空調や照明と比べれば電力需要に占める割合は小さい。しかし、日本マイクロソフトによれば、東京電力管内のPCの設定を変えることで、最大35万kWもの節電が可能であるという。これは火力発電所のタービン1基に相当する電力量だ。
日本マイクロソフトは、東日本大震災に対応するため始まった計画停電を受けて、2011年3月16日に、「停電に備え、節電してWindows PCを使用する方法」というWebページを公開している。電力の需要量を少しでも引き下げようという取り組みだ。
ただし、この取り組みは危急の策であり、どの程度の節電が可能かは分かっていなかったのだという。「どのような対策を取ればどの程度の節電が可能か、具体的なデータがどこにも存在していなかった」(同社のコマーシャルWindows本部業務執行役員本部長を務める中川哲氏、図1)。そこで、標準的なWindows PCの構成を6種類想定し、電力中央研究所に依頼して、さまざまな操作でどの程度の電力を消費するかを調べ、最も効果がある節電手法を探ったのだという。
Windows PCのユーザーは幅広く、設定について自信がない層から、詳細な設定の効果を理解した上で取り組もうとする層までさまざまなグループに向けた対応が必要だ。さらにActive Directoryなどで一括対応が可能な企業内ユーザーも多い。
そこで、詳細な検証結果を2011年5月10日から「Windows PC節電策」ページ(図2)に掲載した他、PCの設定に自信がない一般ユーザーに向けて、「Windows PC自動節電プログラム」のダウンロード提供を始め、同時に節電設定に関する無償電話サポート窓口を開設した。Windows PC自動節電プログラムは、ワンクリックでPCの省電力設定が完了するという手軽なプログラムである。
この他、企業内のシステム部門が意志決定する際に役立つよう「企業向けPC省電力試算用詳細データ」の提供も開始した。
同社のWindows PC節電策ページではさまざまなシナリオを想定し、具体的な消費電力を挙げて、対策ごとの効果が理解できるように記述されている。そのさわりを紹介しよう。
Windows PCを連続的に使っているときは、ディスプレイの輝度設定が最も有効であり、輝度を最大値(100%)から40%に落とすだけで、ディスプレイの消費電力を平均38%節電でき、PC全体でも平均23%節電可能だ。
PCから離れるのなら、省電力設定が有効であり、ユーザーがWindows XPであれば、スタンバイ(Windows Vista/7であればスリープ)操作を都度実行するとさらに効果的である*1)。
*1)日本マイクロソフトが公開している情報ではないものの、Windows XPであれば、デスクトップ上で右クリックし、[新規作成]-[ショートカット]を選択後、項目の場所に、「rundll32 PowrProf.dll,SetSuspendState」を入力すると、アイコンのクリックだけでスタンバイできるようになる。
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