トヨタケーラムは2009年1月8日、インターネット対応CAD「Caelum XXen(ケーラムゼン)」「Caelum III」および3次元CAMソフト「Caelum KKen」の最新版4.1を1月中旬より出荷開始すると発表。昨年12月に@IT MONOistで紹介した拡張機能の詳細を明らかにした。
今回のバージョンアップでは、同社がオプションとして提供しているナレッジ共有ツール「指南車」と連携させた機能「知識NAVI」を大幅に強化している。追加された連携ライブラリにより、解析面では微小要素の検索や、選択したボディに含まれる要素数を表示するなどの機能が充実した。知識NAVIでは、質問形式での情報選択や数値入力、対話形式の設計作業を行うことができる。
CADと知識NAVIツールの連携には、フローチャートを使用するため、プログラミング言語の開発スキルは必要としない。手順は、まず社内に蓄積された設計ルールや過去の不具合情報、各種標準類、報告書などの参照情報を、フローチャートに盛り込み、知識NAVIをCADと連動させる。すると、知識NAVIで、設計者の作業レベルに合わせた技術資料や関連情報が表示される。
Ver4.1では、2次元/3次元CADデータをPDFデータとして出力できる「Adobe PDF Writer」をオプション機能として追加した。アドビ システムズの「Adobe Acrobat 9 Pro Extended」との連携によるものだ。出力するPDFデータには、アセンブリ名、部品名、色などを含む3次元CAD データが含まれている。Adobe AcrobatをインストールしたPC上であれば、CADのソフトがなくても3次元データを見ることができる。
3次元CADの情報だけでなく、設計書や動画などの添付資料も1つのPDFファイルに集約して、次工程、他部署、他社に渡すことができる。
知識NAVIとの連携部分では、質問形式の画面で情報選択や数値入力すると、設計者の行うべき作業の指示や不具合情報、注意すべき点や判断ポイントが表示される。
また、知識NAVIに加え、2次元モデルを3次元モデルに反映させるLVXとも連携する。3次元形状の断面を確認するポイントを複数設定し、閲覧や修正をすることができ、2次元レイアウト上での変更を3次元モデルに連動させることも可能だ。
Ver4.0からの改善点としては、インポートデータのモデル編集機能を充実した。取り込んだデータに対し、形状を削除したり、面をオフセットするなど、直感的に変更できる。さらに、曲面機能も強化し、ぼかし面の作成や、複数面の曲率を保ちながら指定したターゲットに合わせるなどの修正機能も追加した。履歴を気にせずに、XXenに付いているファンクショナルモデリング(各部位の機能を優先して形状定義する手法)などの機能を、ほかのCADデータ上でも活用できる。
Ver4.1の改善点は、FF 仕上げ加工において、ストックモデル(加工後の素材形状)の保管に対応したこと。従来のFF荒取り加工に加え、新たにFF等高線仕上げ加工に対応したことで、次工程の素材形状を自動認識する。CL作成では、従来2 回に制限されていた工具長別の分割制限を撤廃。ホルダなどの干渉を考慮した、切削効率の良いCLが作成できる。
さらに、ボルト穴等のC面取りや小径工具で大径穴の加工ができ、座ぐり繰り広げにも対応した。側面基準仕上げCLを同時に作成でき、従来は複数の工具で加工していたボタンダイ穴の切削を、単一工具で加工可能にした。
新機能としては、STLデータの取り込みによる素材形状定義に対応した。
価格は、Caelum XXen Ver.4.1が100万円(税抜き/買取)および30万円(税抜き/年間レンタル)。知識NAVIオプションが100万円(税抜き/買取)および37万円(税抜き/年間レンタル)。Caelum KKen Ver4.1が198万円(税抜き/買取)および65万円(税抜き/年間レンタル)。
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