タグチメソッドの詳細は専門書に譲るとして、その手順の概略だけでもつかんでください。
基本機能の検討 実験対象の動特性 y=βM を考える
因子と水準の選定 基本機能に寄与すると想定される製造条件(タグチメソッドでは制御因子という)と水準を選ぶ。誤差因子も決める
実験計画 直交表に製造条件と水準を割り付ける。直交表に割り付けた実験条件に従って実験を行う
SN比の計算 実験条件ごとにSN比と感度を計算する。計算した結果は要因効果図として、グラフ化する(図3)。要因効果図にすると、どの因子のどの水準がよいか一目で理解できる
タグチメソッドの説明は以上です。細かい説明や計算式は抜きにして概要が伝わればと思って書きました。実際の現場でタグチメソッドまでやれるかとの危惧(きぐ)もありますが、理想をいえばタグチメソッドまでやりたいものです。
ここまでで、慢性不良の原因が突き止められ、対策案を実験した結果、問題ないことが分かったら、次のプログラムに進みます。ここからはエンジニアにしてみれば、極めて一般的な話なので、手順の確認だけにとどめます。
プログラム6 対策実施 対策案を実行する
プログラム7 効果確認 対策の効果を検証する
プログラム8 標準化 効果の確認できた対策案を標準化し、再発を防止する
プログラム9 今後の計画 未解決の問題や継続対策中の問題を整理し、今後の対策を立案する
改善案は標準化して初めて、定着したと見なします。定着するまでは何かトラブルがあると改善案が目の敵にされ「すぐに元に戻せ!」といわれがちです。改善には変化への抵抗がつきものですから、辛抱強くあきらめずに改善案を見守ってください。実行したら終わりではありませんよ。担当者は定着するまで頑張りましょう!
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連載はこれで終了です。品質立国日本が培った知識と筆者の経験を交えて「品質改善の王道をいこう」と提言しました。本連載を参考にしていただき、慢性不良が改善できれば幸いです。(連載完)
日本ビジネス革新コンサルティング株式会社
羽根田 修(はねだ おさむ)
モノづくりにおける不良低減・歩留り向上を支援するコンサルタント。改善の視点や、品質管理、タグチメソッドといった手法を一緒に実践するため、クライアントの人材育成にも貢献している。
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