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» 2008年09月24日 00時00分 公開

CADだけじゃない。SolidWorks 2009の新機能2008と比べて65パーセントの速度向上

[小林由美,@IT MONOist]

 ソリッドワークス・ジャパンは2008年9月24日、「SolidWorks 2009」を発売する。また2008年9月18日、スペインのバルセロナで行った米Dassault Systemes SolidWorks プレスイベントにて、同製品シリーズの「SolidWorks 2009 Premium」「SolidWorks Enterprise PDM 2009」を先行発表した。

 「SolidWorks=CADではない。マルチ・プロダクトなのだということを主張したい。当社はPDMベンダやCAEベンダなど、さまざまな企業を買収し、システムの拡張を図ってきた」とソリッドワークス・ジャパン 代表取締役社長 飯田 晴祥氏は話す。

 SolidWorks 2009の機能強化も、CADオペレーション関連ばかりではなく、解析やPDM、レンダリングツールなど多岐におよぶ。

ソリッドワークス・ジャパン 代表取締役社長 飯田 晴祥氏

 米Dassault Systemes SolidWorksは、「SolidWorks 2008」と新製品の2009とで同様のオペレーションにて、アセンブリモデルの2次元図面化をさせて、その所要時間を測定し比較した。2009の所要時間は、2008の約3分の1だったという。操作方法が大きく変わったということはなく、計算処理におけるパフォーマンスそのものを大きく向上させているとのことだ。

 パフォーマンス改善に関する新機能として、「SpeedPak(スピードパック)」を挙げた。「ライトウェイト」機能(画面へロードするデータを制限し、表示を軽くする)を適用していても、モデルに合致条件を入れることが可能となった。従来はライトウェイトを解除しないとできなかった。

 モデリングに関する有意義な機能改善として「スロット穴機能」の追加を挙げた。長穴(小判状の長い穴)の元となるスケッチを描く場合、例えば円または円弧を2カ所に描き、それを線分でつなげ、さらにいらない線をトリムし作図するという、結構手間の掛かる作業を要した。2009からは、基になる軸線を描けば長穴の形状を自動でスケッチしてくれる。ユーザーはそれを適当な寸法に直せばよい。また、長穴の中心となる軸も自動で検出してスケッチしてくれる。ほかに、筐体の勘合部のリップを自動作成する機能などを追加した。

スロット穴作成機能

 「設計品質の向上」という製品コンセプトの一面として、解析の「アドバイザ」機能(いわゆる「ウィザード」機能)を追加した。解析の専門知識のない設計者が気軽に解析ができるように工夫された機能だ。システム側がユーザーの目的に合わせた質問をあらかじめいくつか用意し、ユーザーはそれに答えていくことで、解析を実行するという機能だ。質問で導く際には、設計者にとって難しい専門用語はなるべく出さないようにしているとのことだ。振動や応力などあらゆる解析に対応している。「センサー」機能では、ユーザーが設定しておいた安全値や重量などの制限値を超えた場合、アラートを出してくれる。

ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部 プロダクトマーケティング 吉田 聡氏

 解析ツール「SolidWorks Simulation」シリーズの新製品では、応力解析をして変形したモデルをそのまま3次元モデルとして取り込める機能を追加した。いままでは、ユーザーがわざわざ変形後のモデルを作成してアセンブリしなければならなかった。「他社製品でも、なかなかない機能のはず」とマーケティング部 プロダクトマーケティング 吉田 聡氏は話した。ほか応力解析関連の機能改善として、積層シェルの解析がサーフェス相手でも可能となったことを挙げた。サーフェスはソリッドに比べデータ量が少ないので、その分解析時間が短縮されることが期待できる。

 熱解析と応力解析とで連携させる際、2008までは同じメッシュを使用するしかなかった。しかし本来は、それぞれの解析に見合うメッシュが適用できるのが望ましく、ユーザーからもそういった機能の要望が多く寄せられたという。そこで2009からは、それぞれの解析で別々のメッシュ設定が可能となった。またそれぞれの解析の境界条件は、ドラッグ&ドロップで自由に運んでくることが可能だ。

 「解析をしている間、『さて、お茶でも飲みに行こう』と席を立つ必要がなくなってしまった。システムのバックグラウンドで解析を走らせることができるので、その間にも設計作業が続行可能」(吉田氏)。

熱解析のメッシュ

 設計者向けPDMのSolidWorks Enterprise PDM 2009では、複数の部品表管理や、アイテムベースの製品構成管理が可能となった。サービス向けの部品表や工場用の部品表など用途別の部品表を一括管理しながらも、「サービス向けの部品表には接着剤の指示も追加」などそれら固有の部品構成の設定もできる。またそれらは3次元モデルの更新状況とも常にリンクさせておくことが可能だ。

 ほかには、多くのユーザーから要望があったというマルチモニタ(複数のモニタを使いオペレーションする)に便利な機能の追加、エレキCADとメカCAD間の連携機能の改善、レンダリング機能強化など。

 同社の親会社であるダッソーシステムズ 社長兼CEO ベルナール・シャーレス(Bernard Charles)氏は2008年の初頭より「One Company」というコンセプトを強く提唱している。その一環として、米国本社も8月31日付けでDassault Systemes SolidWorksいう名称に変更している。日本法人もまた将来的にはそれに準じる予定だという。

 以下の表のように製品名も統合した。買収前の製品名を生かしていたが、今回から「SolidWorks〜」と統一され、そのファミリーであることがより強調された。

旧製品名⇒新製品名

  • SolidWorks⇒SolidWorks Standard
  • SolidWorks Office Professional⇒SolidWorks Professional
  • SolidWorks Office Premium⇒SolidWorks Premium
  • COSMOSWorks⇒SolidWorks Simulation
  • COSMOSWorks Professional SolidWorks Simulation Professional
  • COSMOSWorks Advanced Professional⇒SolidWorks Simulation Premium
  • COSMOSFloWorks⇒SolidWorks Flow Simulation
  • PDMWorks Workgroup⇒SolidWorks Workgroup PDM
  • PDMWorks Enterprise⇒SolidWorks Enterprise PDM

 「ここ1年においての顕著な変化は、ダッソーサイドとソリッドワークスサイドが協力し開発をしているという部分だと考えている。過去にはなかったことなので」と飯田氏は話した。かつて、CATIAとSolidWoksはそれぞれカーネルが異なるゆえ連携が難しいといわれていて、双方の開発部隊で協力しての開発は、過去、あまり積極的に行われてこなかったという。しかし、将来生み出す新たな製品に関してはもっと積極的に双方が連携していくと飯田氏はいう。

 「シンガポールオフィスや米国本社は、ダッソーとソリッドワークスが同じビルに住んでいるが、日本でも同様になるかも」と飯田氏は話した。ただし、まだ詳しいことは未定だという。

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