米国のEVシフト減速に対するスバル日産ホンダの声:自動車業界の1週間を振り返る(3/3 ページ)
1月下旬から先週にかけて、2024年3月期第3四半期の決算発表ラッシュでした。自動車メーカーやサプライヤーの中には過去最高の業績を達成した会社が多く、好調さが伺えます。
日産
日産自動車の2023年4〜12月期の決算は、売上高が前年同期比22.3%増の9兆1714億円、営業利益は同65.1%増の4783億円、当期純利益は同182.8%増の3253億円の増収増益でした。
営業利益に関して、サプライヤーへの遡及(そきゅう)払いやインフレ、法規制対応コストが主な減益要因となりましたが、鋼材やアルミなど原材料価格の下落、好調な販売や価格改定などの増益要因が上回りました。
2023年4〜12月期のグローバルでの小売台数は前年同期比1.2%増の244.1万台で、中国での販売が同34.7%減と大幅に減少したのをそれ以外の地域で補いました。
内訳は日本が同8.4%増、北米が同29.7%増、欧州が同17.0%増でした。日本は「セレナ」「エクストレイル」「サクラ」「デイズ」といった車種や、HEVであるe-POWER搭載車の販売が好調でした。北米は「ローグ」「キックス」「セントラ」「ヴァーサ」が販売をけん引しましたが、販売奨励金の増加で米国での台当たり売上高は前年同期から6%減少しました。欧州では、「キャシュカイ」「エクストレイル」「ジューク」の販売が好調で、特にこの3車種のe-POWER搭載モデルが伸長しました。
中国では、販売奨励金の調整や競争力の向上などさまざまな取り組みを行っており、2023年10〜12月の販売は前年同期比19%増と上向きましたが、2023年4〜12月期としては前年同期比26%減となりました。中国では現在、ユーザーが活発で、日産ブランドが強い地域に力を入れて競争力を向上させる戦略を進めています。その結果、ガソリン車やe-POWER搭載車が好調で、販売台数を取り戻すことができているとのことです。
2023年4〜12月期の生産台数は前年同期比0.3%増の253.4万台で、このうち中国が同38.1%減だったのに対し、それ以外の地域は同20.9%増となりました。
2023年度通期の販売見通しは、前回の予想から4.1%減の355万台に設定しました。前回予想比で中国が0.7%減、日本が1.9%減、北米が3.6%減、欧州が7.5%減と見込んでいます。各地域の競争激化や物流の逼迫(ひっぱく)などを織り込みました。米国とメキシコの間で物流が逼迫していましたが、陸と海の物流のキャパシティーを多く確保しており、状況は改善に向かうとしています。中国以外の地域は2022年度から大幅に増加する見通しで、下方修正はより現実的な見通しにするという意味合いであるそうです。
米国のEVシフトについて日産 最高財務責任者のスティーブン マー氏は、「電動化のスピードを決めるのはユーザーであり、一直線でEVが増えるわけではなくアップダウンがあると思っています。長期的にはEVの市場は成長するので、現在は必要なラインアップを提供できるよう取り組んでいます。短期的には、『リーフ』と『アリア』で短期的なEVの成功を目指します」とコメントしました。米国でのHEVの展開については「準備ができ次第お話しする」としています。
2023年度通期の業績見通しは据え置きました。販売台数を下方修正したことで販売コストを抑制できる他、為替レートを見直したことで販売を下方修正した影響を相殺する見込みです。
今週はこんな記事を公開しました
- 2023年4〜12月期決算
- 電動化
- 脱炭素
- ネプコンジャパン2024
- 車載ソフトウェア
- オートモーティブメルマガ 編集後記
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