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ホンダがEVをゼロベースで作る、「既存のスペック競争には参加せず」電動化(1/2 ページ)

ホンダはEVのグローバルモデル「0シリーズ」を発表した。

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 ホンダは2024年1月10日、EV(電気自動車)のグローバルモデル「0(ゼロ)シリーズ」を発表した。「M・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」や操る楽しさ、自由な移動の喜びなどクルマづくりの原点に立ち返ってゼロベースで新しいEVを作るという意味が込められている。そのコンセプトモデルとして、「SALOON(サルーン)」と「SPACE-HUB(スペース ハブ)」の2台を「CES 2024」(米国ラスベガス、2024年1月9〜12日)で世界初公開した。

0シリーズのコンセプトモデル。「SALOON(サルーン)」(左)。「SPACE-HUB(スペース ハブ)」(右)[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 0シリーズの第1弾モデルは2026年に北米から展開する。走行可能な試作車両が既にあり、社内のテストコースで運転の楽しさなどを作り込んでいるという。日本、アジア、欧州、アフリカ、中東、南米など各地域に投入する。また、0シリーズでは新デザインのエンブレムを採用する予定だ。

 ホンダは2040年までに四輪車でEVとFCV(燃料電池車)の販売比率を100%にする目標に向けて、これまでは米国や中国、日本のそれぞれの市場でEVの企画/開発やバッテリーの調達を進めてきた。ただ、中国などEVの普及が先行する地域では市場が成熟しつつあり、「ホンダはEVでは後発」(ホンダ 執行役専務 電動事業開発本部長の井上勝史氏)との危機感を持つ。

 「特に中国では補助金があるからEVを買う、ということはなくなった。EVを買ってエンジン車に戻ってこないユーザーも多く、市場として定着した。長期的にはEVが100%になる時代が確実に来る。後発だがキャッチアップするためにもEVのグローバル展開を急ぐ」(井上氏)。


「SPACE-HUB(スペース ハブ)」とホンダ 取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏[クリックで拡大] 出所:ホンダ

薄く、軽く、賢く

 現在のEV市場はスペック競争が激化している。1回の充電で走行できる距離の長さや、デジタル技術のための車載コンピュータの性能などを競う傾向が強い。走行距離を延ばすためにバッテリーの搭載量を増やしてきた結果、車体が大型化してEVは“厚く、重くなっている”とホンダは見ている。また、スペック競争で競われている領域はいずれ頭打ちになり、他社との差別化が難しくなる。そこで、0シリーズでは「Thin, Light, and Wise(シン ライト アンド ワイズ)」を軸にホンダらしさを追求する。

 薄さ(Thin)はフロア高を抑えるEV専用プラットフォームの薄さを指す。これにより全高を低く抑えたスタイルを実現し、デザイン性や空力性能を高める。軽さ(Light)は走りの軽快さや電費性能を、賢さ(Wise)はクルマの知能化やソフトウェアデファインドモビリティの実現を指している。この方針の下、EVならではの「低いのに広い室内空間」やデザインの美しさ、操る喜び、コネクテッド技術や独自のビークルOSによる新たな空間価値、多くの人にとって手の届く自動運転車などを実現する。

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