日産がエネルギーマネジメントサービス、導入第1弾は広島大学:電動化
日産自動車はEVのバッテリーを蓄電池として充放電制御を行う独自のエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」の提供を開始する。
日産自動車は2024年2月2日、EV(電気自動車)のバッテリーを蓄電池として充放電制御を行う独自のエネルギーマネジメントサービス「ニッサンエナジーシェア」の提供を同年3月1日から開始すると発表した。法人や事業者、自治体向けのサービスで、EVや太陽光パネルなどの導入に向けたコンサルテーションやシステム構築、保守運用などもワンストップで提供する。
ニッサンエナジーシェアは、福島県浪江町などでのEVを使ったエネルギー利活用の検証でのノウハウを基に、ユーザーのニーズや状況に応じた最適なエネルギーマネジメントを行う。駐車状態の時間が長い車両を、駐車中にエネルギー面で有効活用することでコスト削減を図り、全体の費用低減につなげたい考えだ。エネルギーマネジメントの対象となる車両は、まずは日産のEVのみとする。
具体的には、充電器や充放電器と連携した充放電制御システムが、EVの使用予定やバッテリー残量、建物の電力使用状況をリアルタイムに把握しながら最適な受給電タイミングを自律的にコントロールする。複数のEVを保有している場合にも対応している。
また、ニッサンエナジーシェアではEVの利便性を損なわずに電力のピークシフトやピークカットを図る。建物での電力需要が高まる時間帯には、EVから建物に給電。太陽光発電など再生可能エネルギーと連携すれば、発電量が多いときに積極的にEVに充電し、夜間にはその電力を建物に給電するなど、発電状況に応じて受給電を行う。これによりエネルギーの地産地消やCO2排出低減にも貢献する。
ニッサンエナジーシェアの導入第1弾となるのは広島大学だ。同大学 東広島キャンパスの構内において、大規模なエネルギーマネジメントを2024年3月から開始する。
広島大学では同キャンパスで使用する車両を全てEVにする他、再生可能エネルギー100%で地産地消する目標だ。これに向けて、キャンパスでは教職員向けの公用車や学生も含めて自由に利用できるカーシェア車両として、EVを合計10台導入した。また、構内の建物や駐車場などに太陽光パネルの設置を進めており、2024年夏に合計6.5MWの太陽光パネルが稼働する計画だ。これらのEVや、構内に分散したエネルギーリソース、太陽光発電設備などを連携した再生可能エネルギーの高度なマネジメントに発展させるとしている。
広島大学は、2030年までに通勤通学を含めてキャンパスで使うエネルギーをカーボンニュートラルにすることを目指している。ニッサンエナジーシェアの導入により、学生がカーボンニュートラルに参画する意識を高めるなど大学全体としての意識醸成を図る。
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