千代田化工建設とトヨタ自動車は2024年2月5日、大規模水電解システムの共同開発と戦略的パートナーシップの構築に合意したと発表した。水電解装置の国内外での導入に向けた政府目標の達成に貢献することを目指す。水電解装置はグローバルで2030年に134GWの導入が見込まれており、日系企業のシェアをその1割程度とする目標を政府は定めている。
燃料電池技術を持つトヨタ自動車の水電解セル/スタックの生産や量産技術と、千代田化工が持つプロセスプラント設計技術や大規模プラントの建造技術を融合し、競争力のある大規模水電解システムを開発する。急激に拡大する国内外の水素製造市場に対応していく。
両社で共同開発するのは、世界最小レベルのサイズと、水素製造効率の高さを両立した水電解システムだ。水素の使用量や設置面積の制約などさまざまなニーズに対応できるよう、5MW級を原単位として開発する。設置面積は2.5×6mで、1時間当たりの水素製造能力は100kgを目指す。この設置面積は一般的な設備の約半分で、メンテナンス性を確保しながら輸送性や設置工事の期間やコストの削減などのメリットを見込む。原単位の水電解装置を組み合わせて標準パッケージとし、大規模な水電解システムを構築する。
トヨタ自動車が持つ工業製品のノウハウと、千代田化工が持つプラントエンジニアリングの知見を組み合わせて最適化することで、水電解システムのコストダウンや生産効率向上、品質安定化などを目指す。
今回の協業を受けて、2025年度からトヨタ自動車 本社工場の水素パーク内に水電解システムの導入を始める。将来的には10MW級まで拡大し、実証や開発に活用する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 燃料電池車は2030年から拡販フェーズ、水素エンジンは直噴がベター?
水素に対する自動車メーカーの関心が高まっている。過去に先行したのは乗用車のFCVだったが、現在関心を寄せられているのは商用車だ。 - 高圧水素タンクをポータブルサイズに、トヨタが「水素カートリッジ」を開発
トヨタ自動車とウーブン・プラネット・ホールディングスは2022年6月2日、手軽に水素を持ち運びできるポータブル水素カートリッジ(高圧水素タンク)のプロトタイプを開発したと発表した。実用化に向けて、静岡県裾野市で建設中のウーブンシティーの他さまざまな場所で実証を行う。 - 水素エンジン車がダカールラリーに、二輪4社の研究組合が参戦
技術研究組合水素小型モビリティ・エンジン研究組合は「ダカールラリー」に水素エンジン車「HySE-X1」で参加する。 - 水素エンジンの改良続く、ハイエースに搭載した走行実証も
トヨタ自動車はスーパー耐久シリーズ2023の最終戦に、液体水素で走行する「水素エンジンカローラ」と、カーボンニュートラル燃料で走行する「GR86 CNF Concept」で参戦した。 - タイの10時間耐久レースで「プリウス」も参戦、CN燃料で走る
トヨタ自動車はタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで行われる10時間耐久レース「IDEMITSU SUPER ENDURANCE SOURTHEAST ASIA TROPHY 2023」に参戦する。 - FCVの2040年度の市場規模は乗用車が130倍、商用車が34倍に拡大
富士経済は燃料電池のグローバル市場調査の結果を発表した。 - バイオガスによる水素製造装置をタイに、トヨタや豊田通商、三菱化工機
トヨタ自動車と豊田通商、三菱化工機はバイオガスから水素を製造する装置をタイに初めて導入する。