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充電時間が短いのはいいこと……のはずなのに自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)

今週はホンダが二輪車の電動化計画について発表しました。投資額が2030年までに5000億円に上ること、電動バイクの専用工場を新設することなど、かなり意欲的な計画が示されました。個人的に気になったのは、バッテリー交換式の電動バイクに関する見立てです。

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トラックとバッテリー交換式も手応えは薄い

 EV(電気自動車)は充電に時間がかかると誰もが知っています。移動のライフスタイルにもよりますが、充電時間は大なり小なりネガティブな要因だとされています。バッテリー交換式は、課題となる充電時間をほぼなくすことができる完璧に近いソリューションのように思ってきましたが、全面的に取って代わるわけではないという状況は興味深いですよね。

 例えば、稼働率重視のトラックもEV化した際に充電時間がネックになるとされています。バッテリー交換式が主流になるかとジャパンモビリティショーで商用車メーカーの説明員の方に尋ねてみると、主流になるかは分からない、もしくは主流にはならないという回答でした。トラックのユーザーがバッテリー交換ステーションに投資できる、あるいは投資してでも充電時間を短縮したいかがポイントのようです。

 「充電時間は短くならなければいけない」という道筋が間違っているとは思いません。充電時間が短いとうれしいのは事実です。ただ、バッテリー交換式のような充電時間を激減させる方法がオールマイティーに広く通用する手応えを得ていない会社が複数ある、それもトラックやバイクといった異なる領域でその状況であるというのは、簡単に無視できない何かが含まれているように思います。

 個人の乗用車のEVユーザーに目を向ければ、充電に時間がかかっても構わない、つまり自宅充電でまかなえているという使い方ができる人もいます。EVを購入して1年で、急速充電は片手で数えるほどしか使ったことがないという声も見かけて驚きました(これはEVとは別に遠出の移動手段となるエンジン車を所有していて、自宅充電に投資できるということの裏返しでもありますが)。

 充電時間を短くするには犠牲も発生します。電池を痛める急速充電がさらに高出力化しようとしている他、バッテリー交換ステーションにせよハイパワーな急速充電器にせよ、インフラ整備に投資が必要です。設置したインフラをよい状態に保つメンテナンスにもコストがかかります。その一方で「(遠出を控えるなど)使い方を押しつけるようなことはしたくない」という発言も自動車メーカーから過去に聞きました。これまでと同じような使い方ができるように、という苦心の結果が現在のEVに織り込まれているともいえます。

 充電時間について、個人や法人、バイクから乗用車、トラックまでそれぞれのユーザーがどう考え、どうなってほしいと思っているのか。「充電時間は短くなければいけない」以外の何かがあるのかどうか、気になるところです。

→過去の「自動車業界の1週間を振り返る」はこちら

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