大容量バッテリーを使わず“電欠”の不安解消、「毎日の充電は不満にならない」:台湾電動スクーターメーカーの野望(後編)(1/2 ページ)
2018年6月にキムコが発表した2台の電動スクーターの新モデル「Many 110 EV」と「Nice 100 EV」は、いずれも「iONEX(アイオネックス)」に対応している。アイオネックスとは、キムコが普及を目指している小型モビリティ用の電力供給ソリューションの名称だ。キムコ 会長のアレン・コウ氏は「車両の概念に、スマートフォンのアプリや急速充電ステーション、公衆コンセントのネットワークなどといったものを含めたもの」と表現している。
前編はこちら:電動スクーターを“普通に”使えるように、台湾二輪車メーカーはインフラ計画も描く
月1100円で駆動用バッテリーをリース、短距離用バッテリーだけ内蔵
2018年6月にキムコが発表した2台の電動スクーターの新モデル「Many 110 EV」と「Nice 100 EV」は、いずれも「iONEX(アイオネックス)」に対応している。アイオネックスとは、キムコが普及を目指している小型モビリティ用の電力供給ソリューションの名称だ。
キムコ 会長のアレン・コウ氏は「車両の概念に、スマートフォンのアプリや急速充電ステーション、公衆コンセントのネットワークなどといったものを含めたもの」と表現している。
このソリューションに対応することで、駆動用リチウムイオンバッテリーを小型化した。さらに、容易に持ち運べる脱着式とすることで「電欠」の心配の払拭(ふっしょく)し、従来のエンジン式スクーターと同等の車両サイズと使い勝手を確保しつつ、よりクリーンな乗り物とすることが狙いだ。
車両の所有形態は、従来のスクーターよりも少しだけ複雑だ。ユーザーが購入し、所有するのはコアバッテリーを搭載した車両のみ。脱着式バッテリーはリースという形で、月々に決まった額を支払うことになる。月額使用料は299台湾ドル(約1100円)だ。
脱着式バッテリーにはそれぞれ個別のIDが与えられ、ユーザーは自分が契約したバッテリーだけを使うことができる仕組み。他者のバッテリーは車両側でIDを認識できず、使うことができない。つまり公共の急速充電ステーションに差し込んでも、それを抜き出して使えるのは差し込んだユーザー本人だけ。充電中にその場を離れても、他の誰かに持っていかれてしまう心配はない。
急速充電ステーションは自動販売機のようなスタイルを持つ。充電時間は60分以内で、ステーションの利用料金は1回10台湾ドル(約36円)。バッテリーにシェアリング方式を採用しなかったのは、シェア前提だとユーザー数以上のバッテリーを用意しなければならず、コストや環境負荷を押し上げる要因になってしまうことが理由だ、と会長のコウ氏は説明する。
Many 110 EVとNice 100 EVには脱着式バッテリーを2本搭載でき、満載時の走行距離は最長で95kmとなる。注目すべき点は、脱着式バッテリーを非搭載でも短距離ならば「コアバッテリー」と呼ばれる内蔵バッテリーだけで走行できることだ。コアバッテリーは車体にケーブルをつないで充電できる。さらに、充電済みの脱着式バッテリーを装着すると、自動的にコアバッテリーへの充電も開始されるようになっている。
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