東芝は、時系列データベースの新版「GridDB Enterprise Edition V6.0」の提供を開始した。列データ高速分析機能を新搭載し、DWHを使わずに長期間の時系列データを高速に分析する。
東芝は2026年11月4日、大規模IoT(モノのインターネット)システム向けスケールアウト型時系列データベース「GridDB Enterprise Edition(GridDB E.E.)」の新バージョンとなる「GridDB E.E. V6.0」の提供を開始したと発表した。同製品は、高頻度かつ大規模に発生する時系列データの効率的なリアルタイム処理を目的としたデータベースだ。ペタバイト級データへの対応や高い信頼性、柔軟な拡張性を備える他、SQLインタフェースによる開発の容易性を特長としている。
産業IoTや社会インフラ領域では近年、設備やセンサー、運用ログなどから発生する大量の時系列データを収集し、長期間にわたり蓄積されたデータを高速に分析して設備運用の最適化や業務改善に生かすニーズが高まっている。従来の大規模IoTシステムでは、データの収集や蓄積を担うデータベースと、長期間にわたるデータの分析を担うデータウェアハウス(DWH)を組み合わせて構成する場合があった。しかし、データベースからDWHへのデータ転送や加工処理が必要となる構成では、リアルタイム分析が困難になる他、システム構成の複雑化や導入/運用コストの増加が課題となっていたという。
東芝のGridDB E.E. V6.0では、新たに「列データ高速分析機能」を実装した。同機能は、長期間のデータを効率的に格納し、高速に分析する機能である。従来は分析専用のDWHを併用することが多かった長期間の時系列データ分析について、GridDB単独で高速な分析処理を行える。データ収集基盤と分析基盤を統合することで、データ転送や加工を伴わないリアルタイム分析を可能にした。
同機能の性能検証として実施した100億件規模の長期間時系列データ分析では、従来バージョンで2900秒を要していた処理を41秒で実行し、処理時間を従来比で約70分の1に短縮したという。測定環境は、サーバ6台からなるクラスタ構成で、工場IoTデータ約100億件を対象に、日付絞り込み条件と集計関数からなるテーブルスキャンクエリを実行して検証した。
東芝のGridDB E.E. V6.0では、データ収集基盤と分析基盤の統合によって、リアルタイム分析の実現、システム構成の簡素化、導入/運用コストの削減という3つの効果をもたらすとしている。
リアルタイム分析の面では、分析のためのデータ転送や整形処理が不要となるため、収集したデータを直接分析できる。設備監視や予兆保全、品質管理、需給最適化など、リアルタイム性が求められるシステムにおいて迅速な意思決定を支援する考えだ。また、システム構成の簡素化では、従来必要だった分析専用のDWHや、収集用データベースからDWHへのデータ連携処理を削減し、システム全体の信頼性向上に寄与する。さらに、分析専用基盤の構築や運用が不要となるため、ハードウェアやソフトウェア、保守/運用にかかる導入および運用コストを削減できるという。
同製品は、エネルギーや社会インフラ、製造など、大量の時系列データを扱い、デジタル化やAI(人工知能)活用の推進が求められる領域での導入を想定する。設備やセンサーから発生する大量の時系列データをリアルタイムに収集し、蓄積されたデータを高速に分析する用途に適しているという。東芝は今後もGridDBを産業IoTや社会インフラ分野におけるデータ活用基盤として強化し、リアルタイムデータ活用の高度化とAI活用の推進に貢献していく方針だ。
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