全製品を28nmプロセスに移行し黄金期の絶頂を極めるAltera、その先に待つ運命は:プログラマブルロジック本紀(16)(1/3 ページ)

FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第16回は、第15回に引き続き2009〜2014年におけるAlteraの製品や動向を取り上げる。全製品を28nmプロセスに移行するなど黄金期の絶頂を極めた同社だが、その運命は急速にあらぬ方向へ転がっていくことになる。

» 2026年11月04日 08時00分 公開
[大原雄介,MONOist]

 前回は、2000年代後半に入って、新たにミドルレンジ製品の「Arria」が加わり、「Stratix」と「Cyclone」の世代交代も順調に進むなど、黄金期の最高潮へと向かうAlteraについて紹介した。今回は、この黄金期の絶頂を極めた後、突然の終焉(しゅうえん)を迎える前の2009〜2014年における同社の製品や動向を取り上げる。

⇒連載「プログラマブルロジック本紀」バックナンバー

2008年末〜2009年にIV世代へ移行、40nmプロセスの採用も拡大

 2008年12月にAlteraはStratix IV GXの出荷を開始する(Webアーカイブを参照)。そして2009年2月、前回、名前だけ触れたStratix IV GTに加え、Arria II GXが発表される(Webアーカイブを参照)。初代のArria GXは、Stratix IIのサブセットという形だったので製造プロセスは90nmだったが、Arria II GXではこれが40nmになる。要するに、Stratix IIIを飛び越えてStratix IVのサブセットになった格好だ。

 表1にArria IIの主要なスペックを示すが、初代Arria GXと比較すると、ALM(Adaptive Logic Module)の数は倍増どころではないし、トータルのメモリ量も大幅に増加している。

表1 表1 データシートが2011年6月版ということもあって、この時点ではまだ発売されていないArria II GZまで混じっているのはご愛嬌(あいきょう)。Arria II GZの発表は翌2010年の6月である(Webアーカイブを参照)[クリックで拡大] 出所:Altera

 さらに、PCI ExpressのHard IPブロックも標準装備されている。このPCI ExpressのHard IP、Arria II GXはGen 1 x1/x4/x8だが、Arria II GZではこれに加えてGen 2 x1/x4のサポートも追加されている。また、LAB(Logic Array Block)はMLAB(Memory LAB)も含んだ構造であり、M144Kブロックが省かれた(これもArria II GZでは復活している)以外はほぼStratix IV GXのサブセットといった構造である。ちなみにトランシーバーの帯域は最大6.375Gbpsで、これも最大8.5GbpsのStratix IV GXに比べるとやや見劣りするが、5Gbpsでの転送が十分に可能であり、ミドルレンジ向けとしては十分な性能と言っていいかと思う。

 StratixとArriaがいずれも40nmプロセスに移行する中で、唯一取り残されていたのがCycloneである。2009年11月に発表されたCyclone IVは、60nmプロセスを採用することとなった(Webアーカイブを参照)。

 このCyclone IV世代では、素というかベースモデルのCyclone IV Eに加えて高速なトランシーバーを搭載したCyclone IV GXもラインアップされることになった(表2)。Cyclone IV Eは6K〜112K、Cyclone IV GXは14K〜150KのLEを搭載。メモリ量も特にCyclone IV GXは大幅に増量されている。Stratix/Arriaと異なりこちらは従来のLEの構造をそのまま踏襲しており、これが両者を明確に分ける違いになった感がある。

表2 表2 Cyclone IV GXのローエンド3製品はトランシーバーの速度が2.5Gbpsで、もうこれは事実上PCI Express向けという感じである。特に、EP4CGX15はEmbedded 18x18 Multiplierの数も0で、これはPCI-PCI Expressブリッジ的な用途を想定しているとしか思えない[クリックで拡大] 出所:Altera

 Cyclone IV GXは高速なトランシーバーを搭載と書いたが、速度は最大3.125Gbpsで8B/10Bエンコーダーを搭載、さらにPCI ExpressのPIPE(PHY Interface for PCI Express)をHard IPで搭載しており、PCIe Gen1 x1/x2/x4の利用が可能となっている。他にも、GbE/CPRI/XAUI/Triple rate SDI/Serial RapidIO/V-by-One/DisplayPort/SATA/OBSAIといったプロトコルを(LEを利用して)サポートできるという説明だが、一番大きな用途はPCI Express対応デバイスの構築というあたりかと思われる。

 2009年というのはPCの世界で言えばPCIバスに対応したマザーボードも存在していた(というか、PCI/PCI Expressのハイブリッド構成のものが大半だった)が、翌2010年あたりからはPCIバスのサポートが急速に減っていく。組み込み機器においてもPCI Expressへの対応が急務になってきた時期であり、かといってStratixはもとよりArriaでもややコストが上がってしまう。Cyclone IV GXでこうした低価格のPCI Expressを構築する道を開いたことは大きなポイントになった。

 ちなみに、発表時の価格で言えば、25万個発注時の価格はCyclone IV EのローエンドであるEP4CE6が3.00米ドル、Cyclone IV GXのローエンドであるEP4CGX15が6.00米ドルとなっている。50万個発注時に4.00米ドルだったCyclone IIIよりもやや単価が下がっているあたりは企業努力というべきか(もっともEP4CE6のスペックを見ると、Cyclone IIIベースのローエンドであるEP3C5と比較するとLEの数こそやや増えているが、Embedded Memoryや18×18 Multiplierの数はむしろ減っているので、妥当な価格なのかもしれない)。

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