AIは「組織能力の増幅器」、パナソニック新CAIOが描く人とAIの共進化:製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

パナソニック ホールディングスでは、2026年4月にグループCAIO(Chief AI Officer)に就任した、執行役員 榊原彰氏が合同取材に応じ、グループ内のAI活用の展望について説明した。

» 2026年10月30日 08時00分 公開
[三島一孝,MONOist]

 パナソニック ホールディングスの執行役員で、2026年4月にグループCAIO(Chief AI Officer)に就任した榊原彰氏(パナソニック コネクト 執行役員)が合同取材に応じ、10月1日に新設した「AI・ロボティクス研究開発本部」の狙いや、グループ内のAI(人工知能)活用の展望について説明した。

AIを前提とした事業モデル、業務プロセス、企業カルチャーに変革

 パナソニック ホールディングスでは、PX(Panasonic Transformation)として組織変革を進めているが、その1つとしてAI活用を核とした事業モデル、業務プロセス、企業カルチャーの進化に取り組む「AI-driven Transformation」を推進している。このAI-driven Transformationをけん引するのが、榊原氏である。

 榊原氏は「AI活用によりソリューション領域強化や新規事業創出を進めて事業モデルの変革、AIを前提とした組織構造、業務プロセス、モノづくりの再構築、全社員におけるAI前提のイノベーション文化の醸成などに取り組む」と説明する。

photo パナソニック ホールディングス グループCAIO(兼)AI・ロボティクス研究開発本部長の榊原彰氏。パナソニック コネクトでも執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント CTO(兼)技術研究開発本部 マネージングダイレクターを務める。

 現在のAI技術の進化について榊原氏は「AIの進化により専門的なソフトウェア開発の知識が十分になくても、業務課題を解決する仕組みをつくりやすくなっている。単純なソフトウェア開発の能力よりも、専門分野の知識とAIを組み合わせる方が価値を生む時代となる」と述べる。

「AI・ロボティクス研究開発本部」を新設

 ただし、AIの効果は組織の状態によって異なる。そのため、AIを「組織能力の増幅器」と位置付け、AIそのものの能力や使い勝手を高めるだけでなく、人も学び、両方の力を組み合わせることで組織全体として改善を続ける循環が必要だと訴える。

 「MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏が以前Xに投稿したエッセイでは、人的資本(Human Capital)とAI資本(Token Capital)が複合的に価値を高めていくという考えが示されていたが、その通りだと感じた。人の判断がAIを育て、AIによる実行結果が人を育てる。その継続的な学習ループを組織内に構築することを目指す」と榊原氏は考えを説明する。

 それを実現するために2026年10月1日付で新設したのが、「AI・ロボティクス研究開発本部」だ。この本部では、AIとロボティクス領域の研究に集中する一方で、出島のように切り離した組織とするのではなく、事業会社の現場と密接に連携しながら、課題の解決に取り組む。「クライアントゼロ」として社内実証を進める。

 一方で、AI活用の基盤となるトークン管理や学習の主権性の確保、各種AI関連のルール作りや、使用モデルの適正化、暗黙知を支えるマルチモーダルデータの収集などに取り組む。

 榊原氏は「パナソニックグループでバラバラだったAI活用の共通基盤となる部分を取りまとめて整備するという方向での取り組みと、具体的な課題に対する実証推進が大きな役割となる。AI・ロボティクス研究開発本部単独で進めるのではなく各事業会社の現場と結び付いて取り組むことが重要だ。実際に事業会社のAIにおけるCoE(Center of Excellence)組織と連携を進めている」と語る。

photo AIトランスフォーメーションの考え方[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス
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