Kraken.ではデータの意味空間を2段階で構築する。最初にあらゆる形式のデータを文脈を保ったまま「半構造化」してつなげる。これらを基に、人や組織、製品、工程、不具合、文書などを多次元のグラフで動的に結び付け、データの意味や関係、根拠を構造化する「ダイナミックオントロジー」で意味空間を構築する。「メゾデータ」と呼ぶデータ表現を用い、抽出した知識を6層のオントロジーに配置する。
半構造化については、あらゆるデータからまずテキストを抽出し、文脈の理解と要約を行い、業務タグ付けをし、さらに関係性のタグ付けを行う。Kraken.は、これらを自動化できる仕組みがあることが特徴だ。
加藤氏は「データレイクやオントロジーモデルの構築が注目されながらも、なかなか進まないのは、人手の作業が発生し、そこに手が回らなくなるためだ。データ整備に関するソリューションを展開する企業は多いが、ほぼ人手を排除できているソリューションはあまりない。Kraken.では最初から、『基本的に自動化する』というコンセプトで取り組んだ。データを入れると自動でオントロジーモデルに配置され、複雑な前処理や再設計などが必要なく、すぐに活用フェーズに入れる」と強みについて語っている。
意味空間の構築における精度については「関係性や意味付けなどが間違っているケースは今ではほとんどなくなり、精度は98%以上に高まっている。数カ月前までは85%前後だったが、構造化に使用しているAIモデルの進化により精度が向上した」(加藤氏)としている。
エフティーではまず、製造業と建設業に向けてKraken.の提案を進めていくとしている。加藤氏は「日本の製造業には、設計データや業務文書、紙、Excelなど、現場に多くの知識やノウハウが蓄積されている。これらを読み解くことで、新たな価値創出につなげられる余地がある。意味空間構築の精度の面でも、特定領域で重点的に取り組むことは重要で、まずは製造業と建設業を中心に提案している」と考えを述べている。
製造業側からの引き合いも強いという。「特に中国企業との競争への危機感からリードタイム削減のために何かできないかというニーズが強い。個別作業の自動化に加え、部門間のデータ分断や手戻りなど、時間を要するプロセスを見直すことが必要で、AIドリブンの仕組みにするために、まずはデータの整備を行うという流れだ」と加藤氏は説明する。引き合いのある部門についても、DX部門だけでなく、工場や生産技術、設計などさまざまで、企業規模を問わず需要があるという。これらの反応を生かし、PLMベンダーのArasとの共同提案なども進めているという。
加藤氏は「こうした現場課題に触れてきた経験も競争力となる。実際の課題を解決しながら技術を改善するため、後発企業が追い付くには、技術開発と現場での経験の両方が必要になるためだ。特に製造業での取り組みが先行しておりドメイン知識の蓄積の面でも優位性を確保できる。さらに、小資本であることも価格競争力の面で強みになる」と語っている。
将来的には、企業内のデータを統合した意味空間を、AIエージェントやフィジカルAIの実行につなげることを目指す。デジタルツインと連携し、状況把握から判断、実行、結果に応じた修正までを循環させるとしている。また、海外についても2027年以降に注力する方針で、台湾、タイ、インドネシアなどを検討しているという。
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