富士フイルムBIの空間センシング技術は最新複合機に搭載済み、新たな用途も提案:CEATEC 2026

富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、「CEATEC 2026」において、独自開発したレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」を用いた空間センシング技術の応用例を紹介した。

» 2026年10月16日 07時45分 公開
[朴尚洙,MONOist]

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、「CEATEC 2026」(2026年10月13〜16日、幕張メッセ)において、独自開発したレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」を用いた空間センシング技術の応用例を紹介した。

 Smart Addressable VCSELは、複合機の露光用光源として用いられているVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)と、LEDプリントヘッドの中核部品であるSLED(自己走査型発光素子)の技術を融合したデバイスである。多数のレーザー発光点と、それらを高速に切り替える選択回路を集積しており、レーザー光の照射位置を電気的に高速制御できる。これに、広角投影レンズを組み合わせることで150度を超える広い範囲へのレーザー照射を実現している。

「Smart Addressable VCSEL」でレーザー光を広範囲に照射するイメージ 「Smart Addressable VCSEL」でレーザー光を広範囲に照射するイメージ[クリックで拡大] 出所:富士フイルムビジネスイノベーション

 このSmart Addressable VCSELと広角投影レンズで構成する発光部から照射したレーザー光が人や物に当たって反射した光をフォトダイオードで受光し、距離を計測することによって空間センシングを行うことができる。富士フイルムBIは、Smart Addressable VCSELやフォトダイオード、距離計測回路、制御演算のためのマイコンなどを集積した空間センシングデバイスも開発している。

 この空間センシングデバイスを採用したのが、富士フイルムBIの複合機の最新モデル「Apeos C7072シリーズ」だ。利用者が複合機に近づいてきたら節電モードから復帰し、利用後に複合機から離れていくと節電モードに戻る「Smart WelcomEyes」のセンサーとして活用している。Smart Addressable VCSELによる高度な空間センシングにより、複合機の横を人が通り過ぎる場合は節電モードからの復帰を行わないなど距離計測だけでなく、移動方向などを検知できる特徴を生かしている。

富士フイルムBIの複合機の最新モデル「Apeos C7072シリーズ」 富士フイルムBIの複合機の最新モデル「Apeos C7072シリーズ」。利用者の接近と退去を検知する「Smart WelcomEyes」に空間センシングデバイスが用いられている[クリックで拡大]

 CEATECでは、Smart WelcomEyes以外に2つの応用例を紹介した。1つは、先が見通せない状況での衝突を回避するセンサーとしての利用だ。工場や倉庫などの通路が狭く見通しの悪い曲がり角では、従業員同士でぶつかってしまうことがある。そこで、空間センシングデバイスを設置するとともに、歩行者の接近を床面に投影して知らせるプロジェクターと組み合わせて運用することで衝突を避けられるようになる。「歩行者の移動速度や向きを検知できるので、衝突の危険度に合わせてプロジェクターの表示を変えるなどの運用も可能だ」(富士フイルムBIの説明員)。

曲がり角での衝突を回避するセンサーのデモ 曲がり角での衝突を回避するセンサーのデモ。受付用の机を曲がり角の壁のイメージで、赤丸で示した位置に設置した空間センシングデバイスで歩行者を検知する。床面にはプロジェクターで曲がり角の向こうに人が立ち止まっていることを示す黄色の表示が出ている[クリックで拡大]

 もう1つの応用例は空中非接触ユーザーインタフェースだ。工場や建設現場でもタッチパネルによる操作を行うようになっているが、油などで汚れた手で操作したくないという要望は多い。食品工場や医療の現場では、衛生リスクからタッチパネルなどへの接触そのものが避けられている。そういった非接触での操作というニーズに対応するのが空中非接触ユーザーインタフェースであり、空中結像光学パネルと空間センシングデバイスの組み合わせにより、空中に浮かぶ映像上のユーザーインタフェースに指先を押し込むような形で操作できるようになっている。「今回の展示では、検知範囲を通常の空間センシングデバイスの150度から90度程度に絞るとともに、指を押し込む上下方向の検知もできるようにした」(同説明員)という。

デモのために試作した空中非接触ユーザーインタフェース デモのために試作した空中非接触ユーザーインタフェース。回転ずしの厨房オーダー管理のユーザーインタフェースが空中に表示されており、指先を押し込むことで操作できる[クリックで拡大]

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